九大の跡地に2,000戸。2028年度から毎年250戸ずつ出てきます

福岡市東区で家を探している方に、知っておいてほしいことがあります。

九州大学が伊都に移ったあとの箱崎キャンパスの跡地に、ファミリー向けの住宅が2,000戸建ちます。

2028年度から、毎年およそ250戸ずつ。
全部そろうのは2036年度の予定です。

商業施設も、総合病院も、産婦人科も、インターナショナルスクールもできます。
2027年にはすぐそばにJRの新しい駅も開きます。

買うか待つかを決める前に、何がいつできるのかだけは見ておいてください。

いま、どこまで決まっているか

九州大学箱崎キャンパスの本部の建物
九州大学の本部が置かれていた建物(箱崎キャンパス)。2015年7月撮影/そらみみ (Soramimi)CC BY-SA 4.0

2026年3月26日、九州大学とUR都市機構が、跡地を開発する事業者を正式に決めました。

住友商事を代表とする8社のグループです。
住友商事、JR九州、西部ガス、清水建設、大和ハウス工業、東急不動産、西日本新聞社、西日本鉄道。

まちの名前は「HAKOZAKI Green Innovation Campus」。

同じ2026年3月26日に、福岡市が地区計画と箱崎中央公園の都市計画決定を告示しました(福岡市告示第66号・第67号)。

2026年5月には安全祈願祭が行われ、UR都市機構が造成工事に入っています。
もう動いているということです。

計画の中身は、福岡市が2025年12月に議会へ報告した「事業基本計画(案)」に書かれています。

この記事の数字は、そこから取りました。

住宅は2,000戸。毎年250戸ずつ出てきます

資料の書き方は、こうです。

福岡市の資料より

ファミリー向け共同住宅については、令和10年度以降、南エリアから、年度毎に約250戸ずつ供給(計2,000戸)

令和10年度は2028年度です。
そこから毎年250戸ずつで、2,000戸に届くまで8年ほどかかります。

一度にどんと出るのではなく、少しずつ、長く出続けるということです。

ここで、ひとつ知っておいてほしいことがあります。

この「2,000戸」と「年250戸」は、事業者が決めた数ではありません。
福岡市が公募の条件として決めた上限です。

福岡市教育委員会の資料には、こう書かれています。

福岡市教育委員会の資料より

跡地の公募では、東箱崎小・箱崎小両校区の教育環境に配慮した住宅供給となるよう、総供給戸数と年間供給戸数の条件が設定されている。
ファミリー向け分譲住宅について、総供給戸数は2,000戸以下かつ年間供給戸数250戸以下(8年間)の制限を設けており…

小学校がパンクしないように、上から数を抑えているということです。

この話は、あとでもう一度出てきます。

住まいの種類は、分譲住宅のほかに単身者向けの賃貸、企業の寮や学生寮、高齢者向け住宅も予定されています。

事業を審議する委員会の議事録には、それらを全部足した数として「人口が5,400人に対して3,000戸が供給され」という確認のやりとりが残っています。
ただし審議の段階の数字で、確定した内訳ではありません。

いつ、何ができるか

施設ごとの開業予定です。
年度は和暦で書かれているので、西暦に直しました。

箱崎キャンパス跡地の開業予定(福岡市「事業基本計画(案)」2025年12月)
年度 できるもの
2028年度
(第1期まちびらき)
商業施設3つ(ライフスタイルセンター・大型量販店・スーパー)/イノベーション拠点「BOX FUKUOKA」/フクオカサスティナブルフードパーク/共同住宅(分譲・賃貸)/寮/多世代交流施設
2029年度 産婦人科クリニック/外国語専門学校/共同住宅(分譲)/業務・研究・交流にぎわい施設
2030年度 インターナショナルスクール/ライフサイエンスパーク/North Gate HAKOZAKI/共同住宅(分譲)
2031〜2032年度 共同住宅(分譲)
2032年度 総合病院
2032〜2033年度 共同住宅(分譲)
2033〜2036年度 共同住宅(分譲)
2036年度 まちの概成

商業施設も職場も住宅も、2028年度に一緒に始まります。
ちがうのは、住宅だけがそのあと2036年度まで少しずつ続くところです。

総合病院は約200病床で2032年度、産婦人科クリニックは2029年度の開業予定です。
ただし資料の書き方は「地場総合病院」「地域の周産期医療を支えてきた産婦人科クリニック」で、どちらも名前はまだ発表されていません。

インターナショナルスクールは新しくつくられるもので、生徒数は300名程度、日本人と外国人が一緒に学ぶ形が想定されています。
ただし運営する事業者もプログラムも協議中で、まだ決まっていません。
多世代交流施設には高齢者向け住宅が100戸ほど入ります。

広さは39.3ha。緑化率40%が決められています

九州大学箱崎キャンパスの構内
箱崎キャンパスの構内(2018年10月撮影)。この一帯が、まるごと新しいまちになります/そらみみCC BY-SA 4.0

福岡市が地区計画をかけている区域は39.3haです。

基盤の整備は南北に分かれていて、南エリアはUR都市機構が開発(約29.3ha)、北エリアは福岡市が貝塚駅周辺の土地区画整理(約23.4ha)を行います。
区域の取り方がそれぞれ違うので、この2つを足しても39.3haにはなりません。

この計画で決まっているルールのうち、住む人に効きそうなものを挙げます。

区域全体で緑化率40%以上、樹木は10,000本以上。
九州大学の近代建築遺産と調和するスカイラインをつくり、建物の色調も引き継ぐとされています。

敷地面積の最低限度は500㎡(開発整備促進区は5,000㎡)です。

開業予定に並んでいる住宅は、すべて「共同住宅(分譲)」「共同住宅(賃貸)」です。
ほかは寮と高齢者向け住宅。
戸建ての区画は、この計画には出てきません。

まちの運営の仕方も決まってきています。

サービスをひとつの共通IDにまとめたタウンポータル、移動手段をまとめて案内するMaaS、シェア型モビリティなどが計画に入っています。

自動運転については、九州大学・UR都市機構・福岡地域戦略推進協議会・福岡市でつくる「FUKUOKA Smart EAST モビリティ推進コンソーシアム」が、2026年度から参加する事業者を募集し、まちびらきにあわせたサービスの導入を目指すとしています。

電車は、3つ集まります

跡地のまわりには、いま地下鉄箱崎線の箱崎九大前駅と、地下鉄と西鉄貝塚線が乗り入れる貝塚駅があります。

そこへ2027年、JR鹿児島線に「JR貝塚」駅が開きます。
千早駅と箱崎駅の間、箱崎駅から1.7kmの場所です。
跡地の配置図にも「JR新駅」として描かれています。

駅は橋上駅舎で、改札は2階に置く計画です。
区画整理事業では、この新駅の駅前広場(約1,300㎡)に加えて貝塚駅の西と東にも広場を整備し、3つ合わせて約7,500㎡になります。
停まる列車の種類とダイヤは、まだ発表されていません。

つまり、貝塚のあたりにJR・西鉄・地下鉄の3つが集まることになります。

跡地の中には約4,500㎡の交通広場がつくられ、貝塚駅のとなりの街区には108台のパーク・アンド・ライド駐車場を整備する計画です。

ただし、朝の電車の混み具合は路線で全然ちがいます

国が令和7年度に測った西鉄貝塚線の朝の混雑率は169%で、福岡でいちばん高い数字でした。
2両編成が1時間に6本しか走っていなかったためです。

ただしこれは2025年10〜11月の測定で、そのあと2026年3月14日に19年ぶりのダイヤ改正があり、香椎花園前→貝塚は8本になりました。
地下鉄空港・箱崎線は129%です。

貝塚線と地下鉄をつなぐ直通運転の話は1971年からありますが、まだ実現していません。

ただし2026年3月の市議会で、市は「地下鉄の車両は更新にともなって軽量化が進んでいる。
過去の検討では貝塚線に地下鉄の車両を乗り入れるための線路の補強を見込んでいたので、今後の検討では車両の軽量化の影響も踏まえる必要がある」と答えています。
前提が変わるかもしれない、ということです。

くわしくはこちらの記事に書きました。
駅が近いことと、朝が楽なことは別の話です。

小学校は、もう動いています

さきほどの「2,000戸の上限」の続きです。

跡地は東箱崎小学校の校区にありました。
ここに住宅ができると、児童が段階的に約600人増える見込みだと福岡市は推計しています。

何もしなければ、東箱崎小学校は最大で950人程度になる見込みでした。

そこで2026年4月1日から、校区が変わりました

東箱崎小学校の校区のうち、都市計画道路の堅粕箱崎線から南側(箱崎六丁目10番と19番の一部)が、箱崎小学校の校区になっています。

地域と保護者の代表でつくる通学区域協議会が3回話し合い、2025年2月に合意したものです。

ここが大事なところです。

児童が増えはじめるのは2029年度あたりからで、変更した区域にはまだ誰も住んでいません
それなのに先に変えました。

理由を、市の担当課はこう説明しています。

福岡市教育委員会の会議録より

今回通学区域を変更する九大跡地に居住者はいない。
ただし、早ければ令和10年度頃より集合住宅が建設予定であり、住宅購入予定者に対して校区を示す必要があることから、このタイミングで通学区域を変更するものである

買う人が校区を確かめられるように、住む人が来る前に決めておいた、ということです。

なお自治会も、校区の調整にあわせて変わる見込みだと説明されています。

2校の現況(福岡市教育委員会・2025年5月1日)
児童数 学級数 保有教室
東箱崎小学校 358人 17 22教室
箱崎小学校 592人 29 27教室(うちプレハブ2)

校区を変えたことで、増える児童が2校に分かれます。

市の推計では、令和20年度(2038年度)の児童数は、校区を変えなければ東箱崎小703人・箱崎小379人。
変えると東箱崎小516人・箱崎小562人になります。

それでも足りなくなったら、という話も出ています

福岡市の資料には、長期に教室が不足する場合の対応も書かれています。

東箱崎小学校が使えそうな土地は、正門の向かい側にある旧高松団地の跡地で約3,800㎡
プレハブを建てるかどうかは未定で、第2グラウンドを主な用途として検討中とされています。

箱崎小学校は建替えの対象校です。
いまの場所で建物を反転させて建て替える予定で、グラウンドが狭くならないように高層化も検討する、順調にいけば5年ほどで完了する、という説明が出ています。

協議会では「箱崎小学校のグラウンドが狭いので、校舎を建て替える際には高層化なども考慮して欲しい」「国道3号線に通学路ができると思うので、安全性に配慮して欲しい」といった意見も出ています。

跡地内に小学校を新しくつくる計画はありません。

2024年9月の市議会で、教育長はこう答えています。
「九州大学箱崎キャンパス跡地内には箱崎中学校の移転予定地を確保いたしておりますが、九州大学とUR都市機構が行った公募において総供給戸数2,000戸の制限が設けられましたため、跡地内に小学校の用地は確保いたしておりません」。

この答弁に対しては、議会で「学校用地確保は絶対に必要」という指摘も出ています。

中学校と公園も動きます

跡地の中には箱崎中学校が移ってきます
移転先は箱崎6丁目で、敷地は約30,000㎡、延床は約14,000㎡、教育研究施設を併設する計画です。
概算の工事費は約81億円。
2027年度から校舎の建設に入る工程が示されています。
ただし正式な移転・開校の時期は、まだ発表されていません。

あわせて箱崎中央公園(約1.0ha)が新しくつくられ、貝塚公園(約3.3ha)も再整備されます。

この箱崎中学校と箱崎中央公園は、福岡市の地域防災計画にもとづく避難所・避難場所に指定される予定です。

ほかにも、交流広場にかまどベンチとマンホールトイレを置く、フードパークを帰宅困難者の一時滞在施設にする、商業施設に備蓄倉庫を置く、といったことが計画に入っています。
備蓄は4,500人の3日分で見込まれています。

東区で家を探している方は、どう考えるか

数字を並べます。
東区は、福岡市の7区のなかでこういう位置にあります。

東区の相場(地価公示は2026年、成約価格は2025年)
項目 東区 7区での位置
地価(区の平均) 坪50.5万円 いちばん安い(中央区は坪196.1万円)
戸建の成約価格 3,700万円(185件) 件数は7区で最も多い
マンションの成約価格 3,000万円(465件) 早良区3,700万・中央区3,500万に次ぐ
空き家率 10.1% いちばん高い

成約価格は、国土交通省の不動産取引価格情報をもとに集計した値です。
公表された統計そのものではなく、地価公示とは母集団も違うので、同じ物差しの比較ではありません。
目安として見てください。

ここに、2,000戸が8年ほどかけて出てきます。

ただ、規模の感覚は持っておいてください。
東区には172,465世帯があります
2,000戸はその1%ほどです。

大きなニュースではありますが、東区ぜんぶの相場を動かす量ではありません。
効くとすれば、跡地の周りです。

となりの土地は、4年で7割上がりました

跡地のすぐそばに、国が毎年値段をつけている地点があります。
箱崎6丁目の「東-42」です。

箱崎・馬出の地価公示(住宅地・円/㎡・各年1月1日)
地点 2021年 2023年 2025年 2026年
箱崎6丁目(跡地のとなり) 210,000 266,000 365,000 406,000
箱崎1丁目 191,000 223,000 277,000
馬出4丁目 172,000 201,000 249,000

箱崎6丁目の地点は2021年に新しく設けられたもので、そのときが210,000円。
2026年は406,000円です。

とくに2025年は前の年から19.3%上がり、この年福岡県の住宅地でいちばん上昇率が高い地点になりました。
同じ年の福岡市の住宅地の平均は9.0%です。

国が出している2026年の鑑定評価書は、近くの馬出の地点について「駅に近接し九大箱崎跡地再開発も動きつつあり地価は上昇傾向が継続」と書いています。

ただし、上がったぶんのどれだけが跡地によるものかは分かりません。
金利も建築費も福岡市全体の需要も、同時に効いています。

なお2026年の福岡市の住宅地の平均上昇率は7.0%で、前の年の9.0%より縮んでいます。

もうひとつ、時間の話です。
計画に書かれていることだけ並べます。

これから何年かけて進むか(福岡市「事業基本計画(案)」2025年12月)
いつ 何が起きるか
2026年4月〜2032年3月 事業者へ土地が段階的に引き渡される
2028年度〜2036年度 ファミリー向け住宅が毎年約250戸ずつ供給される
2036年度 まちの概成

北エリアの区画整理事業(貝塚駅周辺・約23.4ha)の施行期間は、令和3年3月から令和11年3月までとされています。

ただし資料には「事業進捗を踏まえ、施行期間を箱崎中学校移転から5年程度延伸予定」とも書かれています。

まだ決まっていないこと

正直に書いておきます。
この計画で、まだ分からない部分です。

  • 2,000戸の内訳:分譲と賃貸の別、価格帯、広さは未発表
  • 総合病院・産婦人科:「地場の総合病院」としか書かれていない
  • 箱崎中学校:正式な移転・開校の時期、移転後の生徒数と教室数
  • JR貝塚駅:2027年開業予定。
    停まる列車の種類とダイヤは未発表
  • 病院・スクールの名前:総合病院、産婦人科クリニック、インターナショナルスクールの運営者
  • 保育所・幼稚園・学童:施設名・定員・開設時期は記載なし
  • 箱崎小学校の新校舎:階数・教室数・完成年度は未定
  • 令和8年の地価調査(7月1日時点):例年9月下旬の公表で、まだ出ていません

いちばん知りたい価格は、まだどこにも出ていません。

参考までに、いま箱崎や馬出のあたりで売り出されている新築マンションを見ると、45〜77㎡で3,590万〜8,400万円ほどの幅があります(2026年8月時点で各社が公式サイトに載せている売出価格。
成約価格ではありません)。

ただし跡地の2,000戸がこの水準になるとは限りません。
広さも立地も、売る時期も違います。

ここに挙げたことは、これから少しずつ発表されていきます。

とくに2,000戸の価格帯は、東区で予算を組むときにいちばん効くところです。
分かり次第、この記事に足していきます。

この計画をどう受け取るかは、いつ買うか、どこで買うか、何年住むかで変わります。

東区や新宮町のあたりで探していて気になったら、私たちに聞いてください。

いまの相場と、跡地の周りに出ている物件は、東区の記事7区の比較とあわせて見ていただくと分かりやすくなります。

出典