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耐震等級を取っていない家は、地震に弱いのか。熊本で数えられた1,955棟の答え

この7月末、熊本で震度7の地震がありました。

それから、耐震についてのご質問がとても増えています。

いちばん多いのが「この家、耐震等級は取っていますか」で、答えが「取っていません」だと、そこで不安になってしまう。

でも、等級を取っていないことと、地震に弱いことは同じではありません

実は新築の3戸に2戸は、いまも等級を取っていません

そして、等級を取っていない家がどれくらい地震に耐えたかは、10年前の熊本で実際に数えられています。

その数字と、2025年に変わった建築基準法の話をします。

まず、耐震等級とは何か

福岡市西区の千代今宿通り沿いの街並み
西区・生の松原の千代今宿通り。この通り沿いに建つ家も、建った年で守られ方が変わります(2022年11月撮影/HirhoCC BY-SA 4.0

耐震等級は、建築基準法とは別の「住宅性能表示制度」という仕組みの中の、ひとつの表示項目です。

正式には「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」といって、地震に対する倒壊のしにくさを3段階で表します。

耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の定義
等級 具体的な性能
等級3 極めて稀に(数百年に一回)発生する地震による力の1.5倍の力に対して、建物が倒壊、崩壊等しない程度
等級2 極めて稀に(数百年に一回)発生する地震による力の1.25倍の力に対して、建物が倒壊、崩壊等しない程度
等級1 極めて稀に(数百年に一回)発生する地震による力に対して、建物が倒壊、崩壊等しない程度
=建築基準法がすべての建物に求めている最低基準

ここがいちばん大事なところです。

等級1は「建築基準法と同じ」

つまり等級というのは、ゼロから始まる点数ではなく、建築基準法を1として、その何倍かを表すものさしです。

等級を取っていない家は「0」ではなく、法を守って建てられている限り、等級1にあたる強さで設計されています。

そして、等級を取ること自体が任意です。

国土交通省の発表では、2024年度(令和6年度)に設計住宅性能評価書が交付されたのは279,010戸。

同じ年の新設住宅着工は816,018戸なので、交付割合は34.2%でした。

9年連続で増えていて過去最高の数字ですが、裏を返せば、いまも3分の2は取っていません。

取っていないほうが、まだ多数派なのです。

では、等級を取っていない家はどれくらい耐えたのか

2016年の熊本地震で被害を受けた益城町中心部
2016年の熊本地震のあとの益城町中心部。この一帯が、以下で使う1,955棟の調査範囲です(2016年5月撮影/hyolee2CC BY-SA 3.0

2016年の熊本地震のあと、日本建築学会が益城町の中心部で悉皆調査をしました。

悉皆調査とは、範囲を決めて、その中の建物を1棟も飛ばさず全部数えるやり方です。

木造1,955棟を含む2,340棟が対象になり、国の委員会がその結果を報告書にまとめています。

木造1,955棟を、建てられた時期で3つに分けた結果がこれです。

益城町中心部の木造建築物の被害状況(日本建築学会の悉皆調査・国土交通省の委員会報告書より)
建てられた時期 棟数 無被害 軽微〜中破 大破 倒壊・崩壊
〜1981年5月 759棟 39棟(5.1%) 373棟(49.1%) 133棟(17.5%) 214棟(28.2%)
1981年6月〜2000年5月 877棟 179棟(20.4%) 537棟(61.2%) 85棟(9.7%) 76棟(8.7%)
2000年6月〜 319棟 196棟(61.4%) 104棟(32.6%) 12棟(3.8%) 7棟(2.2%)

倒壊・崩壊した割合が、28.2% → 8.7% → 2.2%

無被害だった割合が、5.1% → 20.4% → 61.4%。

震度7が2回きた場所で、この差です。

そして、ここからが本題です。

同じ調査から、2000年6月以降に建てられた家のうち、等級を取っていないものだけを取り出した数字が公表されています。

熊本地震における性能評価取得住宅(木造)の被害状況(国土交通省・住宅性能評価・表示協会)
無被害 軽微〜中破 大破 倒壊
等級を取っていない家
(2000年6月以降・301棟)
181棟(60.1%) 101棟(33.6%) 12棟(4%) 7棟(2.3%)
耐震等級3を取った家
(16棟)
14棟(87.5%) 2棟(12.5%) 0棟 0棟

「等級を取っていない家」というのは、この表の注記では「住宅性能表示未取得物件および耐震等級1のもの」と定義されています。

その301棟のうち、6割が無被害で、倒壊は7棟(2.3%)でした。

国の委員会の総括にも、こう書かれています。

「接合部の仕様等が明確化された2000年以降の倒壊率が低く、接合部の仕様等が現行規定どおりのものは、今回の地震に対する倒壊・崩壊の防止に有効であったと認められる」。

そして等級3については「大きな損傷が見られず、大部分が無被害であった」。

数字だけを見れば、等級3のほうが被害は小さく出ています。

一方で、等級を取っていない2000年以降の家も、震度7を2回受けて6割が無被害でした。

「等級を取っていない=弱い」とは言えない、というのがこのデータの読み方です。

効いているのは「等級」ではなく「いつ建てられたか」

上の表を見ると、差をつくっているのは等級の有無より、建てられた時期だと分かります。

建築基準法には、木造住宅にとって大きな分かれ目が3つあります。

木造住宅の耐震にかかわる建築基準法の分かれ目
日付 何が変わったか
1981年6月1日 新耐震基準。
必要な壁の量が強化された
2000年6月1日 木造の仕様規定の明確化。
柱の上下をつなぐ接合部の金物の仕様と、四分割法による耐力壁の配置のルールが決まった
2025年4月1日 改正建築基準法の全面施行。
木造2階建ても構造の審査を受けることになり、壁の量の計算方法と基礎の基準が変わった

2000年の改正が効いた理由は、報告書の中にはっきり書かれています。

益城町で倒壊・崩壊し、接合部の状況が確認できた1981〜2000年の木造住宅は、すべて2000年に決まった接合部の仕様を満たしていませんでした

壁の量が足りていても、柱と土台をつなぐ金物が弱ければ、引き抜かれてしまう。
そこが2000年に埋められたということです。

2025年4月に、何が変わったのか

これが「いま建築基準法が厳しい」の中身です。

きっかけは、実は地震ではなく省エネでした。

国土交通省の資料には、こう書かれています。

「断熱性能の向上や階高の引き上げ、トリプルガラスサッシ、太陽光発電設備等が設置される場合には、従来に比べて重量が大きく、地震動等に対する影響に配慮が必要」。

省エネ性能を上げるほど家は重くなります。
重い家は、地震のときに大きな力を受けます。

そこで、基準のほうを実態に合わせた、という流れです。

2025年4月1日から変わったこと

1. 木造2階建ても、構造の審査を受けるようになりました
それまでは、建築士が設計した2階建て以下・延べ面積500㎡以下の木造住宅は、建築確認のときに構造の審査が省略されていました(いわゆる4号特例)。

いまは、審査が省略されるのは「平屋かつ延べ面積200㎡以下」だけです。

普通の木造2階建ての一戸建ては、構造の図書を出して、第三者のチェックを受けます。

2. 必要な壁の量の計算方法が変わりました
これまでの「軽い屋根」「重い屋根」という大ざっぱな区分をやめ、屋根・外壁・床の重さに加えて、天井の断熱材・外壁の断熱材・高断熱の窓・太陽光発電設備の重さを個別に足し上げて、その家に必要な壁の量を計算します。

使える壁の上限も、壁倍率5倍から7倍に上がりました。

3. 無筋コンクリートの基礎が使えなくなりました
それまでは、しっかりした地盤なら鉄筋の入っていないコンクリート基礎でもよいことになっていました。

いまは地盤の種別にかかわらず、鉄筋コンクリートの基礎です。

壁の量の基準だけ、1年の猶予がありました

審査省略の見直しは2025年4月1日から始まりましたが、壁の量と柱の太さの基準だけは経過措置があり、2025年4月1日から2026年3月31日までに工事に着手するものは、改正前の基準でよいことになっていました。

つまり2026年4月1日以降に着工する木造2階建てから、新しい壁の量の基準が完全に適用されます

いま計画中の家は、ここに入ります。

なお、どちらの基準で建てたかは、確認申請書と建築計画概要書に記載欄があります。
建築計画概要書は、福岡市役所4階で誰でも無料で見られる書類です。
警固断層の記事で書いた、あの書類と同じものです。

「福岡は0.8だから弱い」ではありません

警固断層の記事を読んでくださった方から、この質問をいただきました。

建築基準法の構造計算では「地震地域係数」という数字を使い、福岡は0.8、関東や東南海などは1.0です。
だから福岡の家は8割の強さしかないのではないか、と。

これについて、熊本地震の委員会報告書に答えが書かれています。

「大きな被害を受けた木造の小規模な建築物については、地震地域係数を用いないいわゆる壁量計算などによって設計されている」。

そして「今回の分析の範囲では、地域の被害状況に地震地域係数の影響は確認されなかった」。

つまり、木造の戸建てが使う壁の量の計算に、地域係数は入っていません

2025年4月からの新しい計算式にも入っていません。
この点では、福岡も東京も同じ計算です。

地域係数が効いてくるのは、構造計算をする大きな建物のほうです。
だからこそ福岡市は、警固断層の近くの高さ20m超の建物に限って、係数を1.25倍する努力義務を条例で課しています。

正直に、書いておきたいこと

建築基準法は「倒れない」であって「無傷」ではありません

同じ報告書には、こう書かれています。

建築基準法令は、建築物の構造等に関する最低の基準を定めたものであり、今回の熊本地震のような大地震に際し構造部材や非構造部材等において損傷が生じないことや、被災後に継続して使用できることまでを要求しているものではない」。

実際、熊本地震では、倒れなかったけれど損傷のせいで使い続けられなくなった庁舎・体育館・病院・共同住宅がありました。

建築基準法が守ろうとしているのは、まず命です。
そのあとの暮らしまでは約束していません。

それから、2000年以降でも7棟が倒壊しています。

その内訳も報告書に書かれていて、3棟は接合部の仕様が不十分、1棟は敷地の崩壊と基礎の傾斜、残る3棟は原因が特定できませんでした。

基準が変わっても、そのとおりに施工されていなければ意味がない。

年代は目安であって、保証ではありません。

1981年から2000年の家には、国が用意したチェック法があります

いちばん判断に迷うのが、この年代です。
新耐震ではあるけれど、接合部のルールが決まる前。

この年代のためだけに、「新耐震木造住宅検証法」という方法が国の要請でつくられています。

対象は、1981年6月1日から2000年5月31日までに建てられた、在来軸組構法(基礎がコンクリート造)の平屋または2階建てです。

まず持ち主が自分でできる4つのチェック

1. 平面と立面が比較的整った形をしているか
2. 柱の上下の接合部に、接合金物が設けられているか(床下や天井裏の写真で確かめます)
3. 壁の配置のバランスが良いか
4. 建物が著しく劣化していないか

1〜3をすべて満たし、4が5点満点で4点以上なら「一応倒壊しない」と判定されます。

ひとつでも欠けるか、4が3点以下なら「専門家による検証が必要」。

その次の段階では、専門家が現地調査をせずに、図面と持ち主の調査結果だけで評点を出す方法が用意されています。
費用を抑えるための仕組みです。

もうひとつ、この年代の家で手がかりになることがあります。

当時の住宅金融公庫(いまの住宅金融支援機構)の融資を受けて建てられた木造住宅について、同じ資料はこう書いています。

「建築基準法に基づく確認検査に加えて第三者による設計審査や現場検査が実施されていること、工事仕様書により接合部が一定強度以上の仕様となっている可能性が高いこと(略)などを考慮すれば、一般的には一定の耐震性能が確保されているものと思われる」。

ただし同じ資料は、劣化の状況の調査をはじめ、耐震性能の検証を行うことが推奨される、とも書いています。

この年代の家は、いちばん新しいものでも築25年を超えています。

等級を取る意味は、地震のときだけではありません

ここまで「等級がなくても大丈夫」という話をしてきましたが、等級を取ることには別の実利もあります。

住宅性能表示制度を使うと受けられるもの
地震保険料の割引 耐震性能の等級に応じて10〜50%
住宅ローン減税 評価書を証明書類として使える
フラット35S 金利の引き下げが使える
贈与税 非課税枠が拡大される

地震保険料の割引は毎年かかってくる費用に効きます。

新築を建てる場合、等級を取るかどうかを検討されるなら、こうした制度も材料のひとつです。

それぞれの適用条件は年度で変わるので、そのときの要件をご確認ください。

7月末の地震で、福岡でも被害が出ています

最後に、いま多くの方が気にされている7月末の地震について、数字だけ置いておきます。

令和8年熊本地震は、2026年7月28日16時27分に熊本県熊本地方で発生しました。
マグニチュード7.1、深さ約16km。
最大震度7を宇城市と氷川町で観測し、有明海・八代海に津波注意報が出ました(同日18時10分に解除)。

その後も震度5弱の地震が5回起きています。

令和8年熊本地震の被害(消防庁 第60報・2026年8月23日10時00分時点)
死者 負傷者 全壊 半壊 一部破損
熊本県 38人 360人 1,629棟 2,258棟 20,320棟
福岡県 2人 8棟
大分県 1人
鹿児島県 1人

福岡県でも負傷者が2人、一部破損が8棟。

震源から100km以上離れていても、被害はゼロではありませんでした。

なお、この数字は速報値で、今後変わります。

まとめ:気になったら、こう見ます

耐震が気になる物件があったら

まず見るのは建築確認を受けた日です。
1981年5月31日以前か、1981年6月〜2000年5月か、2000年6月以降かで、意味がまったく違います。

ここは登記簿の新築年月では分かりません。
確認済証・検査済証・建築計画概要書・設計図書のどれかが要ります。
ここは私たちに聞いてください。

・2000年6月以降なら、益城町の調査では等級がなくても6割が無被害でした。
ただし倒壊した7棟のうち3棟は接合部の施工が原因です。
年代は目安であって、その家の保証ではありません。

・1981年〜2000年なら、「新耐震木造住宅検証法」の4項目を見ます。
特に接合金物です。

・1981年5月以前なら旧耐震です。
福岡市の補助(耐震改修は経費の80%・上限150万円ほか)が使えるかを一緒に確認します。

・新築を建てるなら、2026年4月以降の着工は新しい壁量基準です。

「耐震等級は取っていますか」は、良い質問です。

ただ、その答えが「いいえ」でも、そこで話は終わりません。

本当に効いてくるのはいつ建てられて、どう造られたかのほうです。

気になる物件があれば、私たちに聞いてください。

出典

警固断層の上かどうかは、町名で分かります。福岡市が条例で線を引いた4区の全町名と、建物の耐震を確かめる手順

福岡で家を探していると、どこかで「警固断層」という言葉に当たります。

調べると不安になる情報も出てきますが、福岡市は2008年から、この断層のために条例で線を引いています

線の中にある町の名前は公表されていて、そこに建つ高い建物が地震の力をどれだけ上乗せして設計したかは、誰でも無料で見られる書類に書かれています

怖がるのでも、無視するのでもなく、確かめる。

その手順を、対象になる4つの区の町名ごと、まとめました。

まず、断層はどこを通っているか

南公園の展望台から見た福岡の市街地
南公園の展望台から見た福岡の市街地。断層帯は、この平野の中心を斜めに走っています(2023年5月撮影/HirhoCC BY-SA 4.0

国(文部科学省の地震調査研究推進本部)の評価では、警固断層帯は玄界灘から博多湾を経て福岡平野へ、北西から南東へ斜めに延びています。

東区の志賀島の北西沖から、博多湾、中央区、南区、春日市、大野城市、太宰府市を通って、筑紫野市まで。
全長は55km程度
です。

この55kmは、過去の活動の時期が違うことから2つに分けて評価されています。
海側の北西部と、陸側の南東部です。

福岡市の都心を縦断しているのは、このうち南東部のほうです。

警固断層帯の長期評価(地震調査研究推進本部)
北西部 南東部
どこ 玄界灘〜志賀島付近 博多湾〜中央区〜南区〜春日〜大野城〜太宰府〜筑紫野
長さ 約25km 約27km
地震の規模 マグニチュード7.0程度 マグニチュード7.2程度
最新の活動 2005年(福岡県西方沖の地震) 約4,300〜3,400年前
平均活動間隔 不明 約3,100〜5,500年
30年以内の発生確率 算定できない(活動履歴が不明なため) 0.3〜6%

南東部は、平均活動間隔が3,100〜5,500年で、前回の活動が約4,300〜3,400年前。

つまり、次までの期間の中では後半に入っている、という読み方になります。

30年以内に0.3〜6%という数字は、ゼロではないけれど毎年起きるものでもない、という幅で受け取ってください。

なお、この断層帯は春日市大野城市太宰府市筑紫野市まで達しています。

福岡市内だけの話ではありません。

2005年の地震は、この断層帯の北西部の活動でした

2005年3月20日の福岡県西方沖地震。

震源は福岡市の北西約30km、玄界灘の海底で、深さ約9kmでした。

この地震について地震調査研究推進本部は、「警固断層帯北西部の最新の活動は、2005年の福岡県西方沖の地震(マグニチュード7.0)です」と評価しています。

海の中とはいえ、同じ断層帯で20年前に起きた地震だった、ということです。

このとき市内で観測された震度は、東区と中央区が6弱、早良区と西区が5強、博多区・南区・城南区が5弱。

市全体で死者1名・負傷者1,038名・全壊141棟・大規模半壊8棟。

被害は「西区玄界島、東区志賀島地区、中央区の集合住宅に集中」しました。

震源にいちばん近かった西区の玄界島は震度6弱から7と推定され、700人・232世帯が地震当日のうちに全島避難しています。

この地震のあと、南東部について注意が呼びかけられています

地震調査研究推進本部は、警固断層帯についてこう書いています。

「断層帯北西部の2005年の活動により、断層帯南東部で地震が発生する可能性は、より高くなっているという指摘もあり、そのことに留意する必要がある」

福岡市が2008年に条例をつくった背景にも、この指摘が挙げられています。
市の資料には「警固断層帯南東部は福岡市の都市機能が集積している都心部を縦断している」と書かれています。

市が線を引いた区域と、その中で求めていること

中央区の警固・今泉あたりの通り
中央区の警固・今泉のあたり。この一帯が、市が条例で線を引いた区域に入っています(2022年10月撮影/HirhoCC BY-SA 4.0

福岡市は2008年10月1日から、建築基準法施行条例に第6条の2を加えました。

対象は、決められた区域の中に建つ高さ20メートルを超える建物です。

その建物の構造計算をするとき、地震の力の計算に使う「地域係数」を、1.25倍した数値にするよう努めなければならない、というものです。

福岡の地域係数は0.8ですが、1.25倍すると1.0になります。

市の解説には、1.0は「大地震が起こる可能性が高い地域(関東、東南海地域等)」の数値だと書かれています。

区域の線は、3つの理由で引かれました。

ひとつ、揺れやすさマップで計測震度6.4(震度6強でいちばん強いもの)が区域の75%以上を占めること。

ふたつ、警固断層帯南東部の真上であること。

みっつ、容積率600%以上で土地が高度に使われていること。

対象になっている町(4つの区)

条例の別表に載っている町名を、そのまま書き出します。

福岡市建築基準法施行条例 第6条の2 別表第1の区域
町名
中央区 西中洲、春吉1〜3丁目、渡辺通1〜5丁目、天神1〜5丁目、大名1〜2丁目、今泉1〜2丁目、警固1丁目、薬院1丁目・3丁目、清川1〜3丁目、高砂1〜2丁目、白金1〜2丁目、大宮1〜2丁目、那の川2丁目(1〜4番を除く)、平尾1〜2丁目、那の津1〜5丁目、荒津1〜2丁目、長浜1〜3丁目、港1丁目・3丁目、舞鶴1〜3丁目、赤坂1丁目
博多区 冷泉町、神屋町、築港本町、対馬小路、古門戸町、須崎町、中洲中島町、中洲1〜5丁目、博多駅中央街、博多駅前2〜3丁目、住吉1〜2丁目、寿町1〜2丁目、相生町1〜3丁目、南本町1〜2丁目
南区 那の川2丁目(1〜4番)、大橋1〜3丁目、井尻1丁目、横手1〜2丁目、横手南町、高宮1〜3丁目、高宮5丁目、向野1〜2丁目、野間1丁目
東区 西戸崎1〜6丁目

いちばん広いのが中央区で、区の中心部がほぼまるごと入っています。

次が博多区の博多駅前と中洲まわり、南区の大橋・高宮・井尻、東区の西戸崎です。

城南区早良区・西区は入っていません。

この条例は、守らなくても違反にはなりません

第6条の2は努力義務です。

また、新築と改築にだけ適用され、すでにある建物の増築や修繕には適用されません。

では、実際にどれくらいの建物が割増をしているのか。

2025年12月12日の福岡市議会で、天神ビッグバンで建て替えた・建て替える予定のビルのうち、条例の独自基準をクリアしたのは26棟だと示されました。

質問した議員は、これを「僅か46%なんですね。
義務化されていないお願いベースなので、低い到達にとどまっています」と述べています。

逆に言えば、天神という土地の値段が高い場所で、しかも大規模な建て替えでさえ、半分ほどにとどまっているということです。

ただし採用した建物は、しっかり上乗せしています。

同じ答弁では、天神ビジネスセンターと福岡大名ガーデンシティが条例の係数のさらに1.5倍以上、ONE FUKUOKA BLDG.も1.25倍以上とされました。

天神では、2026年末までに約90棟のビルが建て替わる見込みです。

義務にしている県もあります

静岡県は、県内全域で地震の力を1.2倍にする「地震地域係数(Zs)」を1984年から運用し、2017年10月1日からは条例で義務にしました

福岡市は、断層の近くの指定区域で高さ20mを超える建物に限った努力義務です。

同じ「割増」でも、対象の広さも強制力も違います。
この差を知っておくと、区域内の建物を見るときの目が変わります。

買う前に、その建物が割増したか確かめられます

市は、建築計画概要書という書類に、その建物が条例の対象かどうかと、1.25を乗じた場合はその旨を書かせています。

建築計画概要書の見かた

この書類は誰でも見られます

場所は福岡市役所4階、住宅都市みどり局 建築指導課の6番窓口。

そこにある検索の端末で、自分で調べて閲覧します。

閲覧は無料。
原本証明のついた写しがほしいときは1通300円です。

保存されているのは1999年(平成11年)以降の分。

検索には手がかりが要るので、住所(地名地番)、建築主の名前、建てた年月、階数などを控えていってください。

候補のマンションが決まっているなら、まずは売主か仲介に「建築計画概要書を見せてください」と言うのが早道です。
私たちのほうでもお調べします。

もうひとつ、中古を買うときにいちばん大事な分かれ目があります。

建築確認を受けた日が1981年(昭和56年)5月31日以前か、6月1日以後か
前なら旧耐震基準、後なら新耐震基準です。

登記簿の「新築年月」では判定できません

旧耐震か新耐震かは建築確認の日で決まります。
工事に何年かかったかによって、確認は1981年5月以前でも完成は1983年、ということが起こります。

登記簿の新築年月やチラシの築年数を見ても、そこは分かりません。

確認済証、検査済証、建築計画概要書、設計図書のどれかで、確認の日付を見てください。

あわせて、こういう限界も知っておいてください。

耐震について、確かめられること・確かめられないこと
手段 分かること 分からないこと
重要事項説明 造成宅地防災区域、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域、水害ハザードマップ上の所在地など 活断層からの距離は、宅建業法35条の法定の説明項目に列挙されていない
既存住宅状況調査(インスペクション) 構造耐力上主要な部分の劣化・ひび割れ・雨漏りなど、目視と計測で分かる範囲 耐震診断の評点、耐震等級、杭の支持力、隠れた接合部の状態
建築計画概要書 条例の対象か、1.25を乗じたか(1999年以降の分) 1999年より前に確認を受けた建物のこと

つまり、耐震のことはこちらから聞かないと出てきません

とはいえ、ご自分で売主や管理会社に問い合わせるのは、なかなか骨が折れます。

断層のことが気になったら、私たちに聞いてください

分譲マンションにも、補助があります

旧耐震のマンションを買って直したい、あるいはいま住んでいるマンションの管理組合で検討したい、という場合。

福岡市には共同住宅向けの補助があります。

福岡市の共同住宅(分譲マンション等)への耐震補助
何をするか 補助の額
耐震改修設計 補助率3分の2、1戸あたり5万円が上限
耐震改修工事 補助率3分の1(工事費の限度額51,700円/㎡を基礎に算定)、1戸あたり40万円が上限
段階的改修の1回目 限度額25,800円/㎡、1戸あたり20万円が上限

主な対象は、1981年5月31日以前に確認を受けて着工した3階建て以上・延べ面積1,000㎡以上の共同住宅です。

管理組合の決議など、手続きの条件もあります。

金額は1戸あたりなので、戸数が多いマンションほどまとまった額になります。

木造の戸建ては、条例の対象ではありません

条例は高さ20メートルを超える建物が対象なので、2階建ての戸建ては入りません。

そのかわり福岡市には、古い木造戸建てのための補助制度があります。

対象は1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を得て着工した木造戸建住宅です。

福岡市の木造戸建住宅への補助(旧耐震基準の住宅が対象)
何をするか 補助の額
耐震改修工事 経費の80%以内、上限150万円
耐震シェルター等の購入・設置 経費の40%以内、上限25万円
建替工事 1戸につき20万円(要件を満たせば除却の経費23%を上限30万円で加算。
最大50万円)
除却工事 経費の23%、上限30万円
危険なブロック塀の除却 費用の3分の2、上限30万円

耐震診断そのものへの補助もあり、2026年度から対象が「1981年5月31日以前に建てられたすべての建築物」に広がりました(それまでは共同住宅と病院が対象でした)。

診断費の補助は、住宅の簡易診断が3分の2で上限47,200円、詳細診断が3分の2で上限204,000円です。

注意点として、市の交付決定より前に工事を契約したり始めたりすると対象外になります。

先に建築物安全推進課(092-711-4580)へ相談してください。

直した後には税の軽減もあります。

1982年1月1日以前から建っている住宅で50万円を超える工事をし、原則3か月以内に申告すると、翌年度の固定資産税が床面積120㎡相当分まで2分の1になります。

被害の想定は、大きくなる方向で見直されました

福岡市が耐震改修促進計画で使ってきたのは、2012年に県の専門委員会が示した全壊2,177〜4,523棟、死者193〜458人という想定でした。

これに対して、福岡県が2025年度(令和7年度)に新しい地震防災アセスメントをまとめています。

そこでは、警固断層帯の北西部と南東部が連動して動く(マグニチュード7.7)ケースが想定に加わりました。

この場合の福岡市内の想定は、次のとおりです。

警固断層帯連動(M7.7)による福岡市内の被害想定:冬の18時・強風のケース(福岡県・令和7年度)
項目 想定
全壊・焼失棟数 約14,000棟
うち揺れによる全壊 約8,700棟
うち液状化による全壊 約1,400棟
半壊棟数 約27,000棟
死者 約900人
負傷者 約4,900人
1週間後の避難者 約208,000人

この想定は、地震が起きる時間帯と風の強さで数字が変わります。

上の表は、火を使う時間で人が街に出ている冬の18時に、強風が吹いていた場合です。
全壊・焼失と死者がいちばん多くなる条件を選びました。

寝ている人が多い冬の5時なら、建物の下敷きになる人が増えるので負傷者は約5,300人に増え、全壊・焼失は約12,000棟に減ります。

ひとつの数字だけを取り出さず、幅として見てください。

それでも、この記事の前のほうに挙げた従来の想定(全壊2,177〜4,523棟、死者193〜458人)と並べると、桁がひとつ上がっています。

ただし、数字が大きくなった理由のひとつは想定する地震そのものが変わったことです。
従来は南東部だけが動く想定で、新しい想定は北西部と南東部が連動して動く(M7.7)ケースです。

市はこれを踏まえて耐震改修促進計画を見直すと、2025年12月の市議会で答弁しました。

現行の計画は2021年4月改定のもので、新しい計画は2026年9月の時点でまだ公表されていません。

同じ計画には、福岡市の住宅の耐震化率が約87%(2013年の住宅・土地統計調査)という数字も載っています。

裏を返せば、1割強の住宅は耐震性が確かめられていない、ということです。

液状化は、埋立地に集まります

県の想定では、液状化による全壊の数が区ごとに出ています。

液状化による全壊棟数(警固断層帯連動・福岡県令和7年度)
全壊棟数
東区 約400棟
博多区 約300棟
西区 約300棟
中央区 約200棟
早良区 約30棟
城南区 約20棟
南区 約10棟

いちばん多い東区と、いちばん少ない南区とでは40倍の差があります。

そして、並び方が揺れの強さの順番とは違います。

揺れやすさマップでいちばん濃い色が広がるのは中央区ですが、液状化の全壊では4番目。
条例の区域にまったく入っていない西区のほうが多くなっています。

液状化は、揺れの強さだけでは決まりません。

2005年の地震でも、実際に液状化が起きています。

国土交通省の災害報告には、早良区の百道中央公園で約2,500㎡の液状化と園路の亀裂、中央区の地行浜中央公園で噴砂を伴う液状化が記録されています。

地盤工学会の現地調査では、ほかに愛宕浜、百道浜の住宅地、地行浜の道路・駐車場、那の津・須崎ふ頭、中央ふ頭などで噴砂・舗装の亀裂・沈下・岸壁の変状が報告されました。

海沿いの埋立地を候補にするなら、建物の杭と地盤改良の記録を売主に確かめてください。

地盤そのものは、国土地理院の土地条件図や、国の「KuniJiban」、防災科学技術研究所の「Geo-Station」でボーリング柱状図を見ることもできます。

ただし近所のボーリングは、その敷地の地盤を保証するものではありません。

誤解しないでいただきたいこと

区域の内と外で、安全・危険が分かれるわけではありません

条例の区域は、揺れやすさ・断層の真上・土地の使われ方という3つの理由で引かれた線です。

区域の外なら揺れない、という意味ではありません。

実際、揺れやすさマップでは区域の外にも震度6弱の想定が広く分布しています。

マップの凡例では、震度6弱は「耐震性の低い木造住宅では、倒壊するものがある」、6強は「耐震性の低い鉄筋コンクリート造建物では、倒壊するものがある」と説明されています。

いずれも「耐震性の低い」が前提です。

だからこそ、建てた年と、割増をしたかどうかを確かめる意味があります。

まとめ:この順で確かめてください

福岡で家を買う前に

1. 候補の住所が、上の表の町名に入っているかを見る。

2. マンションなら、建築計画概要書で1.25の割増をしているかを確かめる(市役所4階・誰でも・閲覧無料)。

3. 中古なら、建築確認の日が1981年5月31日より前か後かを確かめる。
登記簿の新築年月では判定できません。

4. 区域の外でも、揺れやすさマップで候補の住所の色を見る。

5. 海沿いの埋立地なら、杭と地盤改良の記録を売主に聞く。

6. 旧耐震なら、市の補助が使えるかを建築物安全推進課に相談する。

ここまでは、私たちがお手伝いできます。

断層があること自体は、変えられません。

変えられるのは、どの建物を選ぶかと、建てた後に手を入れるかどうかです。

ご希望の条件をお聞かせいただければ、いまの福岡で何が選べるかをお出しします。

出典

城南区に住むと、どうなるか。福岡市で戸建てを土地から買える区。七隈線で博多まで14〜22分、新築の建売は3,390万円から

そろそろ家を、と考え始めて、福岡のどのあたりがいいか調べている方へ。

城南区は、福岡市の7区の中でいちばん「ふつう」の区かもしれません。

土地の値段は7区で下から3番目。
子どもの割合がとびぬけて高い校区も、とびぬけて高齢化した校区もありません。

そのかわり、地価公示の17地点のうち16が低層・中層の住宅の区分で、戸建てを土地から買える区です。

地下鉄七隈線が6駅あり、博多まで14〜22分。

派手さはありませんが、条件はそろっています。
中身を順にお伝えします。

まず土地:7区で下から3番目。区の中の差も小さい

片江展望台からの眺め
片江展望台から見た福岡の市街地。城南区の南は油山の裾に続きます(2016年3月撮影/STA3816CC BY-SA 4.0

国が出している2026年の地価公示で、福岡市の7区の住宅地の平均を並べるとこうなります。

福岡市7区の住宅地の平均(2026年地価公示・福岡市公表)
1坪あたり 前年比
中央区 196.1万円 +6.7%
博多区 90.4万円 +7.6%
早良区 89.6万円 +7.7%
南区 78.7万円 +6.8%
城南区 65.4万円 +6.7%
西区 53.7万円 +7.9%
東区 50.5万円 +5.9%

城南区は坪65.4万円。

中央区の3分の1で、市全体の平均(坪85.3万円)の77%です。

そして、この区の特徴は区の中の差が小さいことです。

城南区内の住宅地の地価(2026年地価公示・標準地)
場所 用途地域 1坪あたり 土地50坪なら
鳥飼5丁目 2中専 160.3万円 約8,010万円
別府2丁目 1中専 109.7万円 約5,480万円
荒江1丁目 1中専 85.9万円 約4,290万円
七隈2丁目 1低専 70.7万円 約3,530万円
七隈5丁目 1低専 60.8万円 約3,040万円
田島3丁目 1中専 58.8万円 約2,940万円
友丘1丁目 1低専 47.3万円 約2,360万円
梅林3丁目 1低専 46.3万円 約2,310万円
樋井川5丁目 1低専 42.3万円 約2,110万円
東油山1丁目 1低専 41.0万円 約2,050万円
西片江1丁目 1中専 40.0万円 約2,000万円
片江3丁目 1低専 38.0万円 約1,900万円
東油山3丁目 1低専 27.4万円 約1,370万円

いちばん高い鳥飼5丁目と、いちばん安い東油山3丁目で約5.9倍

当社がこれまで書いた区(西区12.4倍、中央区8.8倍、東区7.9倍、博多区4.5倍)と比べても、開きは小さいほうです。

「この区のこの町だけ手が出ない」という場所が少ない、ということでもあります。

用途地域の欄に注目してください。

17の地点のうち、16が低層・中層の住宅専用の区分(第1種低層住居専用地域など)です。

マンション向きの区分は別府5丁目の1つだけ。

中央区でいちばん安い住宅地でも土地50坪で約2,810万円でしたが、城南区なら東油山3丁目で約1,370万円、片江3丁目で約1,900万円、樋井川5丁目で約2,110万円という並びです。

福岡市内で戸建てを考えるとき、候補に入れやすい区です。

この表は「評価額」です

上の坪単価は国の地価公示で、標準地の評価額です。

実際に売りに出ている土地はこれより高く、不動産ポータルの掲載では城南区の土地の平均が坪60.1万円(78件)。

売り出しの例では、東油山4丁目の120㎡(約36坪)が2,098万〜2,198万円(坪約58万円)、南片江2丁目が3,180万円、樋井川6丁目が3,980万円です。

評価額と売り出し価格を引き算しないでください。

建売の新築戸建てなら、片江2丁目で4,598万〜4,698万円、樋井川で3,390万〜4,598万円、東油山1丁目で4,350万円といった価格帯です(いずれも不動産ポータルの掲載・2026年8〜9月)。

中古戸建ての売り出しの中央値は4,190万円(土地158㎡・建物105㎡・築20年)。

掲載60件の内訳を見ると、3,000万〜4,000万円台が14件でいちばん多く、いっぽうで1億円を超えるものも8件あります。

通勤:七隈線が6駅。博多まで14〜22分

地下鉄七隈線の福大前駅
七隈線の福大前駅。城南区には七隈線の駅が6つあります(2017年7月撮影/そらみみCC BY-SA 4.0

城南区には地下鉄七隈線の駅が6つあります。

梅林・福大前・七隈・金山・茶山・別府です(橋本は西区、野芥などは早良区、六本松から先は中央区)。

城南区の駅からの標準所要時間(福岡市地下鉄)
天神南まで 博多まで
別府 10分 14分
茶山 12分 16分
金山 13分 17分
七隈 15分 19分
福大前 16分 20分
梅林 18分 22分

七隈線は2023年3月27日に天神南から博多まで延び、乗り換えなしで博多へ行けるようになりました

当社が記事にした早良区の西新(博多まで13分)や南区の大橋(18分)と比べても、遜色のない時間です。

この延伸で、駅の使われ方が変わりました。

福岡市地下鉄の事業概要によると、1日の平均乗車人員は延伸前の2022年度から2024年度で、別府が5,214人から7,968人(+52.8%)。

茶山+33.1%、七隈+28.6%、金山+28.4%、福大前+21.1%、梅林+19.7%と、6駅すべてが2割から5割増えました。

七隈線ぜんたいでは69,904人から145,487人へ、2.08倍になっています。

運賃と通勤定期(1か月)は、別府が260円・10,220円、茶山から福大前までが300円・11,850円、梅林が340円・13,080円。

当社が16市区町村を並べた台帳で、鉄道の駅がある町のいちばん高い定期代は11,270円(筑紫野市・新宮町・宇美町)なので、それと同じくらいの水準です。

ただし、区にある鉄道は七隈線だけです。

空港線や西鉄のように別の路線へ振り替えられないので、止まったときは影響が出ます。

候補が決まったら、平日の朝に実際に乗ってみてください。

校区:とびぬけた校区が無い、という特徴

福岡市の校区別の登録人口(2026年6月末)で、城南区の校区を並べます。

校区別の人口と年齢構成(2026年6月末・住民基本台帳)
校区 人口 14歳以下 65歳以上
南片江 9,937人 15.7% 25.1%
城南 14,169人 13.6% 26.5%
鳥飼 9,958人 13.4% 21.3%
田島 10,872人 13.2% 25.4%
別府 17,552人 12.7% 21.3%
9,940人 12.3% 32.6%
七隈 13,910人 11.7% 23.3%
片江 12,908人 11.7% 24.2%
長尾 12,595人 11.4% 28.4%
金山 7,366人 11.2% 32.1%
堤丘 5,396人 10.6% 36.0%

14歳以下は10.6%から15.7%の間に、全部の校区が収まっています。

中央区(3.5%〜14.4%)や西区(1.7%〜22.2%)と比べると、区の中の差がとても小さい

「校区で外れを引く」心配が少ない区、という言い方もできます。

学校の人数も同じで、いちばん大きい別府小学校で915人。

中央区の平尾小(1,120人)、西区の今宿小(1,032人)、博多区の那珂小(1,027人)のような、1,000人を超える小学校はありません。

いちばん小さいのは堤丘小の223人です。

ただし、別府小学校区を考えている方には、先に知っておいていただきたいことがあります。

福岡市の「子育て世帯市内引越し応援事業」は、学級数が多い状態が続いている校区への転居を助成の対象外にしていて、城南区では別府小の校区が指定されています(令和8・9年度)。

対象は田島2丁目の一部、茶山1丁目1〜5番、別府1〜7丁目(6丁目14〜26番を除く)、別府団地、城西団地です。

助成を使う予定があるなら、校区と住所を先に確かめてください。

いっぽう、65歳以上が3割を超える校区が4つあります。

堤丘36.0%、堤32.6%、金山32.1%、西長住31.5%。

いずれも区の南から西寄りの、丘の上に開かれた団地です。

同じ区でも、平地の別府・鳥飼(21.3%)とはかなり違います。

中古の戸建てが出やすいのはこちら側ですが、まわりの世代も一緒に見ておいてください。

借りる場合:2LDKで8.5万円

賃貸の掲載相場(不動産ポータルの参考値・2026年9月)では、城南区は2LDKが8.52万円、3LDKが10.13万円

ワンルームは4.12万円、1Kは4.21万円です。

中央区(2LDK 15.21万円)の56%、早良区(11.21万円)の76%で、糟屋郡の粕屋町(8.54万円)とほぼ同じ水準です。

区内には福岡大学(学部19,637人・大学院646人)と中村学園大学(4,211人)があり、合わせて2万4千人が通っています。

全員が城南区に住んでいるわけではありませんが、単身向けの部屋が多い背景のひとつです。

地盤:警固断層の条例区域には入っていません

福岡市の揺れやすさマップ(城南区版)を見ると、区の大半が黄色で、これは震度6弱の想定です。

北東の別府・鳥飼のあたり(中央区・早良区寄り)に、震度6強の弱いほうにあたる薄いオレンジが帯で入っています。

中央区は北半分が濃いオレンジから赤(6強)だったので、城南区は全体に一段弱い想定です。

福岡市が警固断層のために設けている条例(高さ20メートルを超える建物に地震力の割増を求めるもの)の対象区域は、東区・博多区・中央区・南区の4区です。

城南区は入っていません。
2005年の福岡県西方沖地震のときも、市内で観測された震度は東区・中央区が6弱、早良区・西区が5強で、博多区・南区・城南区は5弱でした。

安全という意味ではありません

条例の区域に入っていないのは、断層からの距離と土地の使われ方で線が引かれた結果で、揺れないという意味ではありません。

マップの凡例では、区の大半にあたる震度6弱は「耐震性の低い木造住宅では、倒壊するものがある」と説明されています。

候補の住所ごとに原図で確かめてください。
私たちのほうでお調べします。

水と土砂は、別に見ておく必要があります。

洪水ハザードマップ(城南区版)の想定は、樋井川の流域で6時間に615ミリの雨。

鳥飼校区の案内資料には、校区の大半が1.0〜2.0メートル未満の浸水想定と書かれています。

福岡市の下水道が「過去に浸水した地区」として重点にしているのも、城南区では鳥飼・別府・田島・七隈の4地区です。

いっぽう油山の裾(東油山・片江・南片江・梅林など)には、県が指定した土砂災害警戒区域が城南区全体で73か所(うち特別警戒区域52か所)あります。

平地は水、山ぎわは土砂、という分かれ方です。

また、丘の団地は造成でつくられた土地です。

福岡市の大規模盛土造成地マップには、田島・茶山・七隈・長尾・樋井川・堤・東油山・南片江・西片江の一部が載っています。

載っているから危ない、という資料ではありませんが、候補の住所が入っているかは見ておいてください。

保育・学童・医療費は、福岡市の制度です

2025年4月1日の福岡市の待機児童は4人(申込41,830人)で、区ごとの入りやすさはこれだけでは分かりません。

福岡市は2023年4月から、第2子以降の0〜2歳児の保育料を、収入に関係なく無償にしています。

学童(放課後児童クラブ)は平日の放課後から17時までが基本で月3,000円、18時までなら+1,000円、19時までなら+2,000円です。

子どもの医療費は高校生世代まで助成があり、通院は1つの医療機関につき月500円まで、入院と薬局は0円です。

休日の急な病気には城南急患診療所(鳥飼5丁目2-25)があります。

ただし診療科は内科だけで、日曜・祝日の9時から16時30分まで。
中学生以下は原則として小児科を案内されます。

子どもの夜間・休日は、早良区百道浜の急患診療センター(小児科は平日19時30分から翌朝6時30分まで、日祝は9時から翌朝7時30分まで)まで行くことになります。

人口は、これから少しずつ増える見通しです

城南区の人口は135,618人(2026年5月1日)で、7区でいちばん少ない区です。

1年で793人(+0.6%)増えました。

福岡市の将来人口推計では、2020年の133千人から2034年に137千人と、14年で4千人ほどの緩やかな増加が見込まれています。

七隈線の沿線については、市が2022〜2026年度の整備計画で520.9ヘクタールを対象にしていて、六本松が「開発推進」、梅林が「開発促進」、福大前・七隈・金山・茶山・別府は「開発誘導」の位置づけです。

大きな再開発というより、個別の建て替えを誘導していく、という形です。

ごみは、夜に出します

福岡市のごみ出しは夜です。

燃えるごみは週2回、日没から夜12時までに出すと、夜のうちに回収されます。

燃えないごみと空きびん・ペットボトルは月1回。

指定袋は45リットルで45円です。

次の一歩

城南区を候補に入れるなら、この順で

まず、七隈線のどの駅を使うかを決める。
別府(博多まで14分)と梅林(22分)で8分ちがい、土地の値段は倍以上ちがいます。

次に、土地にいくらまで出せるかを決める。
片江・東油山・樋井川なら50坪で1,300万〜2,100万円台、七隈・荒江なら3,000万〜4,300万円台です。

そのうえで、校区の年齢構成を見る。
丘の団地(堤丘・堤・金山)は中古が出やすいぶん、65歳以上が3割を超えています。

最後に、樋井川の洪水のハザードマップを原図で確かめる。

ここまでは、私たちがお手伝いできます。

城南区は、目立つ数字が少ない区です。

ただ、福岡市内で戸建てを土地から買おうとすると、選択肢は絞られます。

その中で、七隈線で博多まで20分前後、建売の新築なら3,390万円から、という条件がそろう区のひとつです。

ご希望の条件をお聞かせいただければ、いまの城南区で何が選べるかをお出しします。

出典