共働きで家を探されるとき、保育園の話は必ず出ます。
待機児童を心配される方が多いのですが、この地域の待機児童は、ほとんどの町でゼロです。
当社がご案内している13の市町村で、2026年4月1日時点の合計は25人。
ただし、その内訳を見ると新宮町だけが20人で、しかも去年はゼロでした。
そして「ゼロ」の町にも、入れずに待っている人はいます。
さらに本当に困るのは、保育園に入れたあと、子どもが熱を出した日のほうです。
保育所・病児保育・夜間の小児科・医療費を、公的な資料だけでまとめました。
まず、待機児童の数字
大濠公園の東児童遊園、通称くじら公園(中央区)。元気なうちは、こういう日が続きます(2022年8月撮影/Hirho・CC BY-SA 4.0)
福岡県が2026年8月27日に公表した、2026年(令和8年)4月1日現在の数字です。
県全体の待機児童は53人。
前の年から24人増えました。
申込みは122,648人で、定員は130,263人あります。
13市町村を合わせて25人。
そのうち20人が新宮町です。
発生率2.56%は、県内で水巻町の3.36%に次ぐ2番目の高さでした。
去年まではゼロだった町です。
理由は、県の資料に書かれています。
筑紫野市・新宮町などの要因は「申込児童数に対する受け皿不足」で、その中身として「宅地開発等により申込児童が増え、施設の整備量に不足が生じた」と説明されています。
新宮町は30年で人口が2倍になった町です。
増えている町のひずみが、保育で出たということになります。
一方、福岡市の1人は理由が別に書かれています。
「医療的ケア児の受入体制確保が困難」。
看護師の確保や施設との調整に時間がかかった、という説明です。
つまり福岡市の1人は、園の数が足りないという話ではありません。
「待機児童ゼロ」の町にも、入れていない人はいます
ここは正直に書いておきます。
国の数え方では、入れる園があるのに特定の園だけを希望している人などは、待機児童に数えません。
県はこれを「除外4類型」と呼んでいて、①特定園等のみ希望 ②求職活動休止中 ③育児休業中 ④地方単独事業利用の4つです。
待機児童25人の裏に、1,598人います
64倍です。
大野城市は待機児童ゼロですが、特定の園だけを希望して待っている人が184人。
春日市は91人、志免町は56人います。
「入れる園はあるが、通える園ではない」という状態が、この数字です。
数字は町全体で足りているかを見るものであって、あなたの家から通える園に入れるかを保証するものではありません。
候補の住所が決まったら、その校区の園の空き状況を市の窓口でご確認ください。
もうひとつ、申込みの数が定員を超えている町があります。
久山町(237人に対し定員200人)、篠栗町(982人に対し913人)、宇美町、須恵町、太宰府市。
それでも待機児童はゼロなので、定員を超えて受け入れている、ということになります。
本題はここから。病児保育は、いま無料です
保育園は、子どもが熱を出したら預かってくれません。
共働きのご家庭がいちばん困るのはここで、そのための仕組みが病児保育です。
病児保育は、病院や診療所に併設された専用の部屋で、病気の子どもを日中預かってくれるものです。
県の説明では「病気回復期にある子ども」が対象ですが、病院や診療所が実施している場合は、回復期に至らない場合にも預かることがあるとされています。
つまり、熱が出ている真っ最中でも預かってもらえる施設があります。
福岡県病児保育利用料無償化事業(2023年4月1日から)
県が、病児保育の利用料を助成しています。
補助額は1日あたり2,000円を上限、負担割合は県が10分の10。
つまり全額県が持ちます。
対象は「病児対応型」または「病後児対応型」を実施している施設のうち、県や政令市に届出を出しているもの。
飲食物費などは対象外なので、食事・ミルク・おやつ・医療費は別にかかります。
福岡市は市の制度として、2023年4月1日から利用料を無料にしています(対象は市内在住の0歳から小学6年生まで)。
「病児保育=高い」と思われている方が多いのですが、この地域では利用料そのものはかかりません。
知られていないだけで、使わないと損な制度です。
住んでいる町に施設が無くても、使えます
粕屋町の駕与丁公園。糟屋郡はどの町も待機児童ゼロですが、病児保育の席は郡ぜんぶで6つです(2025年5月撮影/水だらけのプール・CC0)
病児保育の施設は、すべての市町村にあるわけではありません。
そこで県は、市町村どうしの広域利用協定を進めています。
県の言葉では「県内のすべての児童が病児保育を利用できる体制の整備を進めています」。
当社のエリアに関係する協定は、こうなっています。
ここが大事なところです。
新宮町・志免町・須恵町・篠栗町・久山町には、病児保育の施設がありません。
でも協定があるので、隣の市町の施設を同じ条件で使えます。
新宮町の方は古賀市・宗像市・福津市の施設、志免町と須恵町の方は宇美町のグループの施設、篠栗町と久山町の方は粕屋町の施設です。
そして県は「病児保育なび」というWebサービスを無料で用意しています。
住んでいる市町村と、その市町村が協定を結んでいる市町村の施設をまとめて検索でき、そのまま利用申込みまでできます。
ただし、席は多くありません
糟屋郡の施設を見てみます。
糟屋郡6町(新宮町を除く)で、1日に預けられるのは合計6人です。
ひまわりルームは2025年12月1日にできたばかりで、志免町・宇美町・須恵町の3町が共同で委託しています。
筑紫地区は施設が多く、春日市の病児デイケアセンターかすがが定員12人、大野城市の病児デイケアルーム大野城が6人、太宰府市の病児デイケアセンターだざいふが4人。
筑紫野市に2施設、那珂川市に1施設あり、9市町村の協定でどこでも使えます。
新宮町の方が使える宗像グループは、宗像市の病児保育室めばえが15人、福津市の病児保育室ちゅーりっぷが10人、宗像医師会の病後児デイケアルームすくすくくらぶが8人、古賀市に2施設。
こちらは比較的余裕があります。
先に登録しておかないと、その日は使えません
病児保育は、使う前に登録が必要です。
しかも施設ごとに登録します。
熱が出てから登録しようとしても、間に合いません。
宇美町のグループでは「病児保育利用登録申請書」の提出が必要で、粕屋町のコスモスは毎年度登録し直します。
粕屋町のコスモスは登録申請書を年度ごとに出し直します。
予約の締切も曜日で違い、火・水・木は前日17時30分まで、月曜は前の週の金曜17時30分まで、金曜は木曜の正午までです。
週の後半に熱が出ると間に合わないことがあります。
ひまわりルームは空きがあれば当日15時まで受け付けています。
元気なうちに登録だけ済ませておく。
これがいちばんの備えです。
福岡市は21施設。ただし市外の方は有料です
福岡市には病児・病後児デイケアの施設が21あります。
区ごとの数はこうです。
定員は施設によってかなり違います。
県の一覧では、いちばん多い施設が東区の21人、次いで早良区の18人。
中央区と西区には15人の施設があります。
一方で6人の施設もいくつかあり、同じ区でも預けやすさが変わります。
手続きは3段階です。
①はじめて使う施設に利用登録をする(施設ごとに必要)。
②予約をする。
施設が予約を確定してはじめて受け入れになります。
複数の施設に同時に予約することはできません。
③当日、施設の医師の診察を受けて申込書を出す。
他の医院にかかっている場合は、かかりつけ医の利用依頼書か診断書を持っていきます。
福岡市は広域利用協定に入っていません
県の施設一覧では、福岡市の21施設はすべて協定「無」です。
福岡市民は無料ですが、市外にお住まいの方が使うと1,000円から3,000円かかります(施設によって違います)。
逆に言えば、糟屋郡や筑紫地区にお住まいでも、お金を払えば福岡市の施設は使えます。
職場が博多や天神で、家が糟屋郡という方は、この選択肢を知っておくと詰まずに済みます。
夜と休日の小児科
病児保育は日中です。
夜に熱が出たら、別の話になります。
まず #8000(小児救急医療電話相談)
福岡県が、子どもの急な病気(発熱、下痢、嘔吐、けいれん等)やケガの相談を電話で受けています。
経験豊かな看護師、必要に応じて小児科医がアドバイスをする、という仕組みです。
携帯電話・プッシュ回線からは#8000。
ダイヤル回線やIP電話からは092-731-4119。
受付は平日19時〜翌朝7時/土曜12時〜翌朝7時/日曜・祝日は7時〜翌朝7時。
「受診すべきか」を迷ったときは、ここが最初です。
福岡市には急患診療センターと5つの急患診療所、それに歯科の急患診療所があります。
ただし小児科があるのは3か所だけです。
ここが見落とされがちなところです。
東と南の急患診療所は日曜・祝日だけで、しかも夕方4時半までです。
ということは、平日の夜に子どもを診てもらえるのは、市内では早良区百道浜の急患診療センターだけということになります。
博多区・城南区・西区の急患診療所に小児科はありません。
中央区には一般の急患診療所がなく、歯科だけです。
福岡市の外は、仕組みがまったく違います。
筑紫地区は、5市で毎日まわしています
筑紫野市・太宰府市・大野城市・春日市・那珂川市は、2004年(平成16年)10月から筑紫医師会の支援で小児救急の当番体制を組んでいます。
月・水・金は福岡大学筑紫病院(筑紫野市俗明院1-1-1/092-921-1011)。
火・木・土・日は福岡徳洲会病院(春日市須玖北4-5/092-573-6622)。
受付は17時から21時30分(祝日は9時から)で、受付終了は21時です。
診療するのは、筑紫医師会に所属する開業の小児科医が、その日の当番病院に出向いて担当します。
糟屋郡は、日曜と祝日の昼だけです。
久山町の休日診療所(久山町大字久原3168-1/092-652-3119)が内科・小児科・歯科を診ていて、日曜・祝日・お盆・年末年始の9時から17時(12時から13時は休憩)です。
平日の夜については、公式ページに記載がありません。
整理すると、深夜まで小児科が開いているのは福岡市だけ、そのかわり市内で1か所。
筑紫地区は毎日どこかが開いているけれど21時半まで。
糟屋郡は日曜と祝日の昼だけ、ということになります。
どの地域でも、行く前に電話で確認してください。
筑紫医師会のページには「当番医は急に変更される場合もございます。
当番医が変更になっていないか、また、診療可能な症状かどうかを、予め医療機関に必ず電話で確認してください」と書かれています。
こども病院は、夜の駆け込み先ではありません
「福岡市立こども病院があるから安心」と思われている方が多いのですが、ここは役割が違います。
病院の公式ページには「初診時には、必ず医療機関の医師からの診療情報提供書(紹介状)をお持ちください」「原則として予約制で診療を行っています」と書かれています。
紹介状なしで受診すると、選定療養費が初診で7,700円(歯科は5,500円)かかります。
こども病院は、かかりつけ医や急患診療センターから紹介されて行くところです。
一次救急は急患診療センターや当番病院、迷ったら#8000、急を要するときは119。
この順番を覚えておいてください。
医療費が、市町村でけっこう違います
子ども医療費の助成は、入院についてはどの市町村も自己負担がありません。
差が出るのは通院と、何歳まで対象かです。
13市町村とも所得制限はありません。
いちばん手厚いのは春日市で、18歳年度末まで通院も入院も0円です。
筑紫野市・大野城市・那珂川市は中学生まで0円ですが、高校生年代は対象外。
太宰府市は高校生年代になると、月1,600円かかります。
月500円か0円かは小さな差に見えますが、小児科は通う回数が多い時期があります。
数百円の話ではあっても、町を選ぶときの材料のひとつにはなります。
まとめ:引っ越す前に、これだけ
保育園・病児保育・小児科で見ておくこと
・待機児童の数字は、町全体の話です。
「ゼロ」でも特定の園だけを希望して待っている人が13市町村で1,089人います。
候補の住所が決まったら、その校区の空きを市の窓口でご確認ください。
・新宮町は2026年4月に待機児童20人が出ました。
宅地開発で申込みが増えたことが理由です。
・病児保育の利用料は、県の事業で無料です。
使わないと損です。
・住んでいる町に施設が無くても、広域利用協定で隣の市町の施設が使えます。
「病児保育なび」で検索と申込みができます。
・登録は元気なうちに。
施設ごとに必要で、粕屋町のコスモスは毎年度やり直します。
・糟屋郡は席が少ない(6町で6人)。
福岡市の施設は市外でも有料で使えるので、逃げ道として知っておく。
・夜の小児科は、まず#8000。
深夜まで開いているのは福岡市の急患診療センターだけで、筑紫地区は21時半まで、糟屋郡は日祝の昼だけです。
・こども病院は紹介状が要ります。
夜の駆け込み先ではありません。
・子ども医療費は市町村で差があります。
通院の自己負担が0円か月500円か、高校生年代まで対象かどうか。
家を選ぶとき、園の数や公園の広さは見ても、病児保育の席の数や夜の小児科の閉まる時間まで見る方はまずいません。
でも共働きで効いてくるのは、そちらのほうです。
候補の町が決まっていれば、この記事の表を手元に置いて、気になるところから見ていってください。
気になったら、私たちに聞いてください。
出典