2026年度から、全国で新しい制度が始まりました。
保育園に入っていない0〜2歳の子どもを、親が働いていなくても預けられる「こども誰でも通園制度」です。
育休中の方、在宅で育てている方、転勤で来たばかりで保育園に入れていない方。
これまで預け先がなかった家庭が対象です。
国が決めた枠は月10時間。
ところが福岡市はその4倍、月40時間まで使えます。
制度の中身と、福岡市と近郊で何が違うのかをまとめました。
どんな制度か
春日市の白水大池公園。春日市はこの制度を5つの園で実施していて、そのうち1園は無料です(2018年7月撮影/STA3816・CC BY-SA 4.0)
こども家庭庁は、制度の目的をこう書いています。
「全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化」する新たな通園給付。
いちばん大事なのは、就労要件を問わないことです。
これまでの保育所は「働いているから預ける」ものでした。
この制度は働いていなくても使えます。
法律の上では、児童福祉法の「乳児等通園支援事業」として2025年4月に始まり、子ども・子育て支援法の「乳児等のための支援給付」として2026年4月から本格実施、という段取りです。
福岡市は、国の4倍です
大濠公園の西児童遊園、通称どんぐり公園(中央区)(2022年10月撮影/Hirho・CC BY-SA 4.0)
福岡市は、国が本格実施する前から取り組んできました。
市が「福岡市型」として案内を始めたのは2024年度(令和6年度)ですが、市議会の答弁を見ると2023年度にすでに3か所で動いています。
その2024年5月の会見で、市長はこう説明しました。
「国の上限である月10時間の4倍に当たります最大月40時間預けることができること」。
じつは国の検討会でも、月10時間では足りないという声が上がっています。
資料には委員の意見として、「現在の月10時間という設定では、週1回の通園すら困難であり」「10時間では短過ぎるのではないかという声が多く上がっている」と記録されています。
それでも当面は月10時間で進むことになりました。
資料が挙げている理由は、全国的な受け入れ体制の状況に大きな変更がないことと、保育人材の確保が課題であることの2つです。
福岡市は、そこに市の予算で30時間を上乗せしています。
障がいのあるお子さんを受け入れた施設への加算も、国が400円のところを市は1,000円にしています。
3か所から50か所へ
福岡市がどれくらい本気かは、施設の数の伸びに出ています。
2026年3月の市議会で、こども未来局長が答えた数字です。
2023年度の3か所から、2026年度の見込みで50か所。
3年で約17倍です。
同じ答弁で、現場の声も紹介されています。
施設からは「子どもの成長促進、保護者の育児負担の軽減、支援が必要な児童の早期発見につながった」。
保護者からは「子どもの成長や食生活の改善、育児負担の軽減など多くの感謝の声」。
一方で施設からは「事業を安定的に運営するためには補助の充実が必要」という声も出ています。
「支援が必要な児童の早期発見」は、この制度のもう一つの意味だと思います。
保育園に通っていない0〜2歳は、行政が接点を持ちにくい年代です。
そこに窓口ができる、ということでもあります。
お金のこと
基本は1時間300円です。
福岡市も那珂川市も同じでした。
減免の線引き(所得割77,101円未満)は、福岡市も那珂川市も同じでした。
そして、無料の園があります。
春日市は5つの実施施設のうち泉ヶ丘幼稚園が無料で、ほかの4園(春日つぼみ保育園・宝幼稚園・くすの木幼稚園・森の木幼稚園)は1時間300円。
福岡市にも無料や1時間250円の施設があります。
同じ制度でも、園によって値段が違うということです。
利用料が無料の園でも、実費はかかります
福岡市の案内では、給食・おやつ代が1回100円から500円。
ほかに教材費・衛生費、紙おむつ、布団のリース、連絡帳、保険などがかかる園があります。
実際の掲示を見ると、給食350円+雑費月300円+布団月300円という園、給食500円+衛生費月1,500円という園があります。
利用料が無料の園でも、給食1回300円、初回の連絡帳200円、集金袋50円という掲示です。
「1時間300円」だけで済むとは考えないでください。
使うまでの手順
ここが、この制度でいちばんつまずきやすいところです。
思い立った日には使えません。
福岡市の場合の流れ
1. 施設の空き状況を確認する
2. 「こども誰でも通園制度総合支援システム」で認定申請をする
3. 認定証を確認する
4. 希望する施設に直接申し込む
5. 初回面談を受ける
6. 利用登録
7. 利用開始
那珂川市も春日市も、入口は同じ「こども誰でも通園制度総合支援システム」(春日市は「つうえんポータル」と呼んでいます)でのオンライン申請です。
市の認定が下りると、申請したメールアドレスにシステムからメールが届き、そこからアカウントを登録して面談と利用の予約に進みます。
認定にかかる日数は自治体が目安を出しています。
志免町は10日程度、太宰府市・筑紫野市・春日市は2週間程度です。
病児保育の記事でも書きましたが、この手の制度は元気なうちに登録を済ませておくのが要点です。
認定と面談を挟むので、使いたい日の前日に思い立っても間に合いません。
当日のキャンセルは、時間が戻ってきません
国の手引では、利用日当日の午前0時以降にキャンセルすると、予約した時間を使ったものとして利用可能時間から差し引くことになっています。
園の都合で休みになった場合は差し引かれません。
キャンセル料を取るかどうかは自治体や園が決められます。
宇美町は前日17時までの連絡を求めていて、当日キャンセルは園によって料金がかかります。
篠栗町の和田幼稚園はキャンセル料なしです。
月10時間しかない自治体では、1回のキャンセルがそのまま響きます。
実施している園は、市町村によって違います
この制度は市町村が実施する事業です。
だから住んでいる市町村に実施園があるかどうかが、まず問題になります。
近郊はどうか。
調べたところ、糟屋郡7町も筑紫地区5市も、すべて実施していました。
未実施の市町村はありませんでした。
久山町だけ形が違います。
町立けやきの森幼稚園で、毎週火曜の9時30分から12時まで。
料金も時間単位ではなく1回750円(減免があれば250円)です。
月に何時間までという上限は公表されていません。
福岡市は7区で実施していますが、数に大きな差があります。
開始予定を含めて早良区13・南区11・西区10・博多区9・東区7・城南区5に対して、中央区は3園。
中央区は0〜2歳の保育の受け皿がもともと少ない区なので、そこが効いているのかもしれません。
2026年度から、市町村をまたいで使えます
認定は住んでいる市町村で受けますが、利用する園は市町村をまたいで選べます。
自治体どうしの協定も要りません。
ただし注意があります。
福岡市の月40時間という上乗せは、市外の園では当然には使えません。
住んでいる自治体が国の分(月10時間)だけを負担する扱いも認められています。
受け入れ側が自分の市町村の住民を優先する枠を設けることもできます。
志免町は町外の方も使えますが、町民が優先です。
そして、これから増えます。
福岡市は2026年度に、実施する事業者を10か所程度追加で募集しています。
形は2つあって、認可保育所などが0〜2歳の定員の空きを使う「余裕活用型」と、専用の定員を別に設ける「一般型」です。
いま近くに無くても、来年には増えているかもしれません。
予約は、園によってまったく違います
制度があっても、枠が空いていなければ使えません。
福岡市の空き状況を見ると、同じ市内でも園によって正反対でした。
ある園は0歳から2歳まですべて「空きなし」、別の園はすべて「空きあり」。
市は、空きは申込みで変わるので最新の状況は園に直接確かめてほしい、と案内しています。
気になる園があるなら、まず電話で聞くのが早道です。
まとめ
こんな方に
・保育園には入れていないが、週に数時間でも預けたい0〜2歳のお子さんがいるご家庭
・育休中で、上の子の行事や自分の通院の日に困っているご家庭
・転勤で来たばかりで、まだ保育園が決まっていないご家庭
・在宅で育てていて、子どもが同年代と過ごす時間を作りたいご家庭
働いていなくても使えます。
ここがこれまでの制度といちばん違うところです。
ただし、市町村によって形も園も違います。
福岡市は週1回の定期利用、近郊は月10時間。
値段が無料の園もあれば300円の園もある。
実施している園が近くに無い市町村もあります。
家を選ぶときに、ここまで見る方はまずいません。
でも0〜2歳のお子さんがいるなら、効いてきます。
気になったら、私たちに聞いてください。
出典