粕屋町の仲原小学校区で家を探しているご夫婦へ。
博多への近さと子育て環境から選ばれる校区ですが、粕屋町は近隣のなかで「安い町」ではありません。そして同じ仲原校区のなかでも、区によって浸水のリスクがはっきり違います。
予算が合わないときにどこを見るかまで含めて、正直にお伝えします。
なぜ仲原小学校区が選ばれるのか
この校区が候補に挙がりやすいのは、町の主要なものが、たまたま同じ校区の中にそろっているからです。
駅も公園も大型モールも、校区の中にあります
仲原小学校区にはJR香椎線の酒殿駅があります。町のシンボルである駕与丁公園も校区内で、周回の遊歩道は1周4.2195キロメートル、桜が約700本、バラ園には春と秋に約180種2,400株が咲き、入園は無料です。イオンモール福岡があるのも、同じ酒殿区です。通勤に使う駅、休日に行く公園、買い物の場所が、いずれも校区の中で完結します。
町全体としても、交通の条件が良いエリアです
粕屋町の公式サイトでは「博多駅まで列車で約10分、福岡空港まで車で約15分」と紹介されています。町内にはJRの駅が6つあり、長者原駅では篠栗線(福北ゆたか線)に乗り換えられます。九州自動車道の福岡インターチェンジや福岡都市高速の粕屋出入口もあり、車での移動もしやすい立地です。町内168か所から利用できるAIオンデマンド乗合バス「のるーと粕屋」も走っています。
買い物や医療の面でも、食料品・衣料品・雑貨・電器・映画館が入る大型ショッピングモールがあり、診療所に加えて地域医療支援病院として承認を受けた病院があって救急にも対応できるとされています。
町の計画でも「まちの顔」と位置づけられています
粕屋町の都市計画マスタープラン(概要版)は、将来都市像を「暮らし続けたくなるまち。かすや。」とし、町を「九州自動車道福岡インターチェンジに隣接し、多くの幹線や2本のJR線が交差する交通の要衝」と位置づけています。2040年の目標人口は58,000人とされています。
将来都市構造では、町役場やJR長者原駅から原町駅を含むエリアが「中心拠点」、酒殿駅を含む地域が「地域拠点」のひとつとされ、駕与丁公園に隣接する中心拠点は「まちの顔」と位置づけられています。つまり仲原校区は、町が今後も力を入れていくと明示しているエリアにあたります。
ただし、粕屋町は安い町ではありません
近隣と並べると、粕屋町の位置がはっきりします。
土地は掲載中の売地の平均で、粕屋町が約57.8万円/坪。
福岡市東区の約47.8万円/坪より約10万円高い水準です。志免町の約37.9万円/坪より約19.9万円、須恵町の約24.8万円/坪より約33万円高くなります。
土地の坪単価(万円/坪)
2026年8月時点。SUUMOに掲載中の売地の平均です。粕屋町28件・志免町30件など、掲載数は町によって違います。
賃貸も同じ傾向です。
同じポータルどうしで比べると、粕屋町は志免町より2LDKで月1.0万〜1.3万円、3LDKで月1.8万〜3.7万円高くなります。
福岡市東区と比べると2LDKで月約0.7万円、3LDKで月約2.6万円ほど粕屋町のほうが安い、という関係です。
相場の数字は、そのまま信じないでください
家賃相場はポータルによって集計の仕方が違い、同じ間取りでも2万円以上ずれます。
粕屋町の2LDKは、Yahoo!不動産で10.6万円、アットホームで8.54万円です。
いずれも成約した賃料ではなく募集中の物件の平均で、管理費や駐車場代を含むかも物件によって違います。
市町の平均は「だいたいの位置」を知るためのもので、実際の物件はここから大きく上下します。
同じ仲原校区でも、区によって条件が違います
仲原小学校区にあたるのは、酒殿区・甲仲原区・花ヶ浦区・乙仲原東区・駕與丁区の5つの行政区です。
「仲原校区だから」でひとまとめにできません。とくに水の問題は、町の防災マップが区ごとにはっきり書き分けています。
正直にお伝えしたい注意点:内水の冠水
粕屋町の防災マップには、平成21年7月24日の豪雨のときの河川の写真が掲載され、「決して人ごとではありません」と明記されています。
仲原校区のマップには、過去に道路が冠水した地点と、その深さが記録されています。
約10センチ、15センチ、20〜30センチ、30センチ、50センチ、60センチ、80センチ、そして1メートルという表示があります。とくに甲仲原・乙仲原東・酒殿の須恵川周辺で確認が必要です。
「もう大丈夫」とは言えません
「あの豪雨のあとに改修されたから、もう大丈夫」とは言い切れません。
過去に冠水した記録がある場所は、いまの排水能力で足りるかどうかを個別に見るしかありません。
河川の氾濫だけでなく、雨水が排水しきれずにあふれる「内水」も含めて、候補地の前面道路まで地図で確認してください。
駕与丁公園。池をぐるりと囲む遊歩道沿いに桜が続きます(2016年4月撮影/yuki5287・CC BY 2.0)
博多までは、長者原から12〜15分
長者原駅から博多駅までは、乗り換えなしで12〜15分、大人の片道運賃はICで270円です。
玄関を出てから博多駅までは、駅まで徒歩10分の物件ならおよそ32〜35分とみておくと現実的です。
酒殿駅から博多へ向かう場合は、香椎線で長者原まで行き、福北ゆたか線に乗り換えます。
接続によって待ち時間が変わるため、玄関からの体感はおよそ35〜50分と幅が出ます。
JR九州は2024年のダイヤ改正で長者原駅の朝の列車を増発しており、その理由を混雑の緩和としています。
つまり朝は混む路線だということです。座れるかどうかを示す公表値はないため、実際に乗って確かめるのが確実です。
人口は微減、世帯数は増加
人口は令和4年度の48,828人をピークに、令和7年度は48,372人とゆるやかに減っています。
一方で世帯数は、同じ期間に21,738世帯から22,351世帯へ増え続けています。
人口が右肩上がりというより、世帯が細かく分かれながら微減から横ばいが続いている段階と捉えるのが実態に近そうです。
粕屋町の人口
縦軸は 48,200〜49,000人。0からではありません
粕屋町の世帯数
縦軸は 21,500〜22,600世帯。0からではありません
予算が合わないときは、志免町・須恵町も
仲原校区の家賃や価格が予算に収まらない場合、生活圏を大きく変えずに検討できるのが、隣接する志免町と須恵町です。
土地でみると、志免町で約19.9万円/坪、須恵町で約33万円/坪の差があります。50坪なら、志免町で約1,000万円、須恵町で約1,650万円の計算です。
安くなるぶん、引き換えがあります
志免町には町内に鉄道駅がありません。公共交通はバスが中心で、朝の本数は使う停留所によって大きく違います。
車が生活の前提になります。
須恵町は土地がいちばん安いエリアですが、そのぶん博多への距離が延びます。
「安いところへ下げる」ではなく、通勤の形と車の台数まで含めて、総額で比べてください。2台目の車が必要になると、価格差は維持費で消えていきます。
物件を決める前に、確かめてほしいこと
- 候補の住所がどの区にあたるか(酒殿・甲仲原・花ヶ浦・乙仲原東・駕與丁)を確認する
- 粕屋町防災マップで、その住所の前面道路に冠水の記録がないかを見る
- 洪水浸水想定区域図と土砂災害警戒区域マップも、あわせて確認する
- 平日の朝に、長者原駅か酒殿駅まで実際に歩いて時間を測る
- 朝の時間帯に実際に乗って、混み具合を確かめる
- 志免町・須恵町も候補にする場合は、車の台数まで含めて総額で比べる
出典