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中央区に住むと、どうなるか。土地はいちばん安い場所でも坪56万円、警固断層は区の真下。買う前に見る書類まで正直に

そろそろ家を、と考え始めて、福岡のどのあたりがいいか調べている方へ。

中央区は天神と大濠公園がある区で、住むところとしてはマンションの区です。

いちばん安い住宅地の地点でも坪56万円。
土地を50坪買うだけで約2,810万円になるので、戸建てを土地から建てる話は、この区ではほとんど成り立ちません。

そしてもう一つ。
警固断層が、この区の真下を通っています。

福岡市はそのために、天神・大名・今泉・薬院・平尾といった区の中心部で、高い建物の設計を強くするよう求める条例を持っています。

値段の中身と、断層とのつき合い方を、順にお伝えします。

まず値段:7区の中で、ここだけ桁が違います

大濠公園 松島のパーゴラ
大濠公園。この公園の近く(大濠1丁目)が、区でいちばん高い住宅地です(2026年5月撮影/HirhoCC BY 4.0

国が出している2026年の地価公示で、福岡市の7区の住宅地の平均を並べるとこうなります。

福岡市7区の住宅地の平均(2026年地価公示・福岡市公表)
1㎡あたり 1坪あたり 前年比
中央区 593,100円 196.1万円 +6.7%
博多区 273,300円 90.4万円 +7.6%
早良区 271,100円 89.6万円 +7.7%
南区 238,000円 78.7万円 +6.8%
城南区 197,800円 65.4万円 +6.7%
西区 162,400円 53.7万円 +7.9%
東区 152,700円 50.5万円 +5.9%
(市全体) 258,100円 85.3万円 +7.0%

中央区は2位の博多区の2.2倍、市全体の平均の2.3倍です。

7区の中で、ここだけ数字の桁が違います。

区の中も、ひらきがあります。

中央区内の住宅地の地価(2026年地価公示・標準地)
場所 1坪あたり 前年比
大濠1丁目 492.5万円 +13.7%
薬院4丁目 323.6万円 +10.2%
赤坂2丁目 314.0万円 +8.1%
草香江2丁目 260.2万円 +7.8%
六本松4丁目 191.4万円 +4.9%
平尾3丁目 179.8万円 +8.2%
警固2丁目 157.7万円 +6.7%
谷1丁目 132.2万円 +5.3%
平和5丁目 89.3万円 +6.7%
福浜1丁目 76.0万円 +2.7%
小笹4丁目 61.2万円 +3.9%
笹丘3丁目 56.2万円 +3.0%

この区で、戸建てを土地から建てるのは現実的ではありません

中央区でいちばん安い住宅地の地点は笹丘3丁目の坪56.2万円ですが、これでも西区の住宅地の平均(坪53.7万円)より高い

土地を50坪(約165㎡)買うと、笹丘でも約2,810万円、平尾3丁目なら約8,990万円、大濠1丁目なら約2億4,600万円です。

ここに建物代が乗ります。

中央区に住むという話は、実際にはマンションを買うか借りるかが中心になります。

ただし、戸建てや土地がまったく無いわけではありません。

不動産ポータルの掲載(2026年9月1日・ポータル参考値)では、中央区の新築戸建てが55件、中古戸建てが35件、土地が60件。

土地の掲載相場は、低層住居専用地域で坪60.7万円、そのほかの住居専用地域で坪101.5万円です。

実際の売り出しには、笹丘3丁目の土地158㎡で2,475万円(坪51.8万円)、笹丘2丁目の新築戸建て3,780万円(土地101㎡・建物81㎡)といった例があります。

中古戸建ての掲載の中央値は6,880万円(建物129㎡・土地165㎡・築16年)。

数は少ないものの、笹丘・小笹・平和のあたりなら、戸建ても選択肢に入ります。

それでも予算が合わなければ、南区・城南区・早良区へ広げるのが現実的です。

借りる場合も、いちばん高い区です

賃貸の掲載相場(不動産ポータルの参考値・2026年8月)では、中央区は2LDKが15.21万円、3LDKが18.91万円。

当社がまとめ記事で並べた16市区町村のどれよりも高く、2番目に高い博多区(2LDK 12.43万円・3LDK 14.80万円)より、3LDKで月4万円ほど上です。

いっぽうワンルームは6.89万円、1Kは6.69万円で、単身向けは郡部の町とそれほど変わりません。

この差が、次の章の校区の数字につながります。

買う場合の目安として、中古マンションの取引の㎡単価(国の取引情報を民間サイトが集計した参考値・2026年8月時点)はこうです。

中古マンションの取引㎡単価(ポータル参考値・2026年8月時点)
エリア 1㎡あたり 70㎡なら
大濠 104.0万円 約7,280万円
薬院 88.8万円 約6,220万円
六本松 63.8万円 約4,470万円
西鉄平尾駅の周り 45.9万円 約3,210万円
笹丘 39.9万円 約2,790万円
小笹 28.9万円 約2,020万円

集計に使われた件数が少ないエリアもあり、築年数もそろっていません。

それでも、大濠と小笹で3.6倍という開きは、土地の値段の並びとほぼ同じ向きです。

校区の中身:春吉は1世帯1.2人。市でいちばん少ない

六本松の交差点
六本松の交差点。地下鉄七隈線が通り、区の南寄りの住宅地に続きます(2014年9月撮影/Chihaya StaCC BY-SA 4.0

福岡市の校区別の登録人口(2026年6月末)で、中央区の校区を並べます。

校区別の人口と年齢構成(2026年6月末・住民基本台帳)
校区 人口 14歳以下 65歳以上 1世帯あたり
小笹 14,945人 14.4% 23.0% 2.07人
笹丘 13,236人 13.1% 27.8% 1.95人
南当仁 18,877人 11.9% 20.3% 1.75人
草ヶ江 16,640人 11.9% 20.6% 1.79人
平尾 25,783人 11.1% 18.4% 1.67人
赤坂 12,631人 10.7% 22.3% 1.71人
舞鶴 24,974人 8.7% 17.6% 1.42人
警固 18,291人 8.6% 18.3% 1.50人
高宮 15,048人 8.2% 13.1% 1.39人
春吉 14,071人 3.5% 13.2% 1.20人
福浜 4,262人 8.4% 47.2% 1.64人

春吉校区は1世帯あたり1.20人

福岡市の7区に149ある校区の中でいちばん少ない数字です(2〜5位は当社が記事にした博多区の東住吉1.28・千代1.29・博多1.30・堅粕1.30)。

14歳以下は3.5%で、離島の校区を除けば市でいちばん低くなります。

天神の南のこのあたりは、ひとり暮らしの方の街です。

いっぽう、子どもが多いのは区の南側の丘です。

小笹14.4%、笹丘13.1%。

学校の人数も差があり、平尾小学校は1,120人・43学級で、博多区の那珂小(1,027人)や西区の今宿小(1,032人)を上回る区最大。

春吉小学校は141人・8学級です。

同じ区の中で、8倍ちがいます。

警固断層は、この区の真下を通っています

福岡市の揺れやすさマップ(中央区版)を見ると、区の北半分がいちばん濃い色です。

天神・大名・今泉・警固・薬院・舞鶴・長浜・那の津・荒津・港・西中洲・春吉・渡辺通・赤坂といったあたりが震度6強の想定。

区の南側(小笹・笹丘・平尾の南)は6弱から5強の色です。

警固断層帯の南東部の推定位置が、区の中央を斜めに走っています。

この断層について、国の地震調査研究推進本部は次のように評価しています(2007年3月)。

警固断層の長期評価(文部科学省 地震調査研究推進本部・2007年3月)
断層の長さ 約27km
断層のタイプ 左横ずれ断層(ずれの量は2m程度)
過去の活動 約4,300〜3,400年前/約8,900〜7,400年前
平均活動間隔 約3,100〜5,500年
想定される地震の規模 マグニチュード7.2
30年以内の発生確率 0.3〜6%

2005年3月の福岡県西方沖地震のとき、福岡市内で観測された震度は東区と中央区が6弱(早良区・西区は5強、博多区・南区・城南区は5弱)。

市全体で死者1名・負傷者1,038名・全壊141棟で、被害は「西区玄界島、東区志賀島地区、中央区の集合住宅に集中」した、と福岡市が記録しています。

そして市の資料には、この地震の影響で警固断層帯南東部の活動が促進された可能性が指摘されている、とあります。

被害の想定は、いま見直しの途中です。

市がこれまで耐震改修促進計画で使ってきたのは、2012年に県の専門委員会が示した全壊2,177〜4,523棟・死者193〜458人という数字でした。

これに対し、県が2026年3月に新しい地震防災アセスメントを公表し、市議会(2025年12月)では市内の値として「全壊家屋1万数千棟」「死者900人」が示され、市はこれを踏まえて計画を見直すと答弁しています。

つまり想定は大きくなる方向で更新されているところです。

買う人が確かめられる、条例のこと

福岡市は2008年10月1日から、警固断層帯の南東部に近い区域について、高さ20メートルを超える建物に、次のことを求めています。

構造計算で使う「地域係数」を、1.25倍した数値にするよう努めなければならない、というものです。

福岡の地域係数は0.8ですが、1.25倍すると1.0になります。

これは関東や東南海など、大地震の可能性が高い地域と同じ水準です。

言いかえると、この区域の高い建物については、関東と同じ水準で設計するように、と市が求めているということです。

ただし、この条例は努力義務で、守らなくても違反にはなりません。

そのかわり市は、建築計画概要書に「対象の建物かどうか」「1.25を乗じた場合はその旨」を書かせています。

つまり、検討中のマンションがこの割増をしているかどうかは、書類で確かめられます。

この概要書は、誰でも見られます。

福岡市役所4階の建築指導課の窓口にセルフ検索の端末があり、閲覧は無料です(原本証明つきの写しは1通300円)。

保存されているのは1999年(平成11年)以降の分で、検索には住所・地名地番・建築主名・建築年月などの手がかりが要ります。

新築でも中古でも、まずは売主か仲介に「建築計画概要書を見せてください」と言ってください。

私たちのほうでも取り寄せてお調べします。

対象になっているのは、中央区では次の町です。

西中洲、春吉1〜3丁目、渡辺通1〜5丁目、天神1〜5丁目、大名1〜2丁目、今泉1〜2丁目、警固1丁目、薬院1丁目・3丁目、清川1〜3丁目、高砂1〜2丁目、白金1〜2丁目、大宮1〜2丁目、那の川2丁目(1〜4番を除く)、平尾1〜2丁目、那の津1〜5丁目、荒津1〜2丁目、長浜1〜3丁目、港1丁目・3丁目、舞鶴1〜3丁目、赤坂1丁目。

ほかの区にも区域はあります。

博多区は中洲1〜5丁目・博多駅前2〜3丁目・住吉1〜2丁目など、南区は大橋1〜3丁目・高宮1〜3丁目・井尻1丁目など、東区は西戸崎1〜6丁目。

ただ、4つの区の中でいちばん広いのが中央区で、区の中心部がほぼまるごと入っています。

実際にこの割増をした建物の例もあります。

市が天神ビッグバンで認定した8つのビルは、市議会の説明によれば、天神ビジネスセンターと福岡大名ガーデンシティが条例の係数のさらに1.5倍以上、ONE FUKUOKA BLDG.が1.25倍以上。

ただし、これはオフィスビルの話です。

区域全体で何棟が割増をしたか、という市の集計は公表されていません。

誤解しないでいただきたいのですが、この区域に入っているから危ない、区域の外なら安全、という話ではありません。

区域は「揺れやすさマップで震度6強が大半を占める」「断層の直上」「容積率600%以上の高度利用」という3つの理由で引かれたもので、建物を強くする目安として市が決めた線です。

また条例は高さ20メートル超が対象なので、低層のマンションや戸建ては対象外です。

30年以内の発生確率0.3〜6%という数字も、ゼロではないが毎年起きるものでもない、という幅で受け取ってください。

保育・学童・医療費は、福岡市の制度です

2025年4月1日の福岡市の待機児童は4人(申込41,830人)で、区ごとの入りやすさはこれだけでは分かりません。

福岡市は2023年4月から、第2子以降の0〜2歳児の保育料を、収入に関係なく無償にしています。

学童(放課後児童クラブ)は平日の放課後から17時までが基本で月3,000円、18時までなら+1,000円、19時までなら+2,000円です。

子どもの医療費は高校生世代まで助成があり、通院は1つの医療機関につき月500円まで、入院と薬局は0円です。

ひとつ知っておいていただきたいのは、中央区には内科・小児科の区急患診療所が無いことです。

市の区急患診療所は東・博多・南・城南・西の5か所で、中央区にあるのは歯科の急患診療所(大名1丁目)だけ。

子どもの夜間・休日は、早良区百道浜の急患診療センター(小児科は平日19時30分から翌朝6時30分まで、日祝は9時から翌朝7時30分まで)まで行くことになります。

なお学童(放課後児童クラブ)は中央区に12か所あり、市は要件を満たす児童を全員受け入れる運用で、市議会の答弁では待機は0人です。

人口は、これから増える見通しです

中央区の人口は215,389人(2026年5月1日)。

1年で増えたのは221人(+0.1%)で、伸び率は7区でいちばん低い数字です。

ただし福岡市の将来人口推計では、中央区は2020年の206千人から2034年に223千人へ、14年で17千人増える見通しになっています。

面積15.39㎢は7区で最小に近く、増えるとすれば建物を高くする形になります。

天神ビッグバンでは2015年からの10年で93棟の建築確認が出ていて、市は2026年末までに約90棟が建て替わる見込みとしています。

ただしこれはオフィスと商業が中心の事業で、住宅がいくら増えるかを示した市の資料はありません。

ごみは、夜に出します

福岡市のごみ出しは夜です。

燃えるごみは週2回、日没から夜12時までに出すと、夜のうちに回収されます。

燃えないごみと空きびん・ペットボトルは月1回。

指定袋は45リットルで45円です。

次の一歩

中央区を候補に入れるなら、この順で

まず、買うのか借りるのかを決める。
買うならマンション一択と考えてください。

次に、候補の住所が警固断層の条例区域に入っているかを見る。
入っているなら、建築計画概要書で1.25の割増をしているかを確かめる。

そのうえで、校区を見る。
子育て中なら小笹・笹丘・草ヶ江のほうが、天神寄りの春吉・警固よりも同世代が多い環境です。

予算が合わなければ、南区(大橋まわり)・城南区・早良区へ。
値段は下がりますが、大橋や高宮は同じ条例区域なので、断層の話はついてきます。

ここまでは、私たちがお手伝いできます。

中央区は、天神と大濠公園を抱えていて、土地も家賃も福岡でいちばん高く、そして断層の真上にある区です。

「高いから無理」と外す前に、借りる選択も含めて、いくらで何が選べるのかを一度そろえて見てみてください。

ご希望の条件をお聞かせいただければ、いまの中央区で何が選べるかをお出しします。

出典