そろそろ家を、と考え始めて、福岡のどのあたりがいいか調べている方へ。
城南区は、福岡市の7区の中でいちばん「ふつう」の区かもしれません。
土地の値段は7区で下から3番目。
子どもの割合がとびぬけて高い校区も、とびぬけて高齢化した校区もありません。
そのかわり、地価公示の17地点のうち16が低層・中層の住宅の区分で、戸建てを土地から買える区です。
地下鉄七隈線が6駅あり、博多まで14〜22分。
派手さはありませんが、条件はそろっています。
中身を順にお伝えします。
まず土地:7区で下から3番目。区の中の差も小さい
片江展望台から見た福岡の市街地。城南区の南は油山の裾に続きます(2016年3月撮影/STA3816・CC BY-SA 4.0)
国が出している2026年の地価公示で、福岡市の7区の住宅地の平均を並べるとこうなります。
城南区は坪65.4万円。
中央区の3分の1で、市全体の平均(坪85.3万円)の77%です。
そして、この区の特徴は区の中の差が小さいことです。
いちばん高い鳥飼5丁目と、いちばん安い東油山3丁目で約5.9倍。
当社がこれまで書いた区(西区12.4倍、中央区8.8倍、東区7.9倍、博多区4.5倍)と比べても、開きは小さいほうです。
「この区のこの町だけ手が出ない」という場所が少ない、ということでもあります。
用途地域の欄に注目してください。
17の地点のうち、16が低層・中層の住宅専用の区分(第1種低層住居専用地域など)です。
マンション向きの区分は別府5丁目の1つだけ。
中央区でいちばん安い住宅地でも土地50坪で約2,810万円でしたが、城南区なら東油山3丁目で約1,370万円、片江3丁目で約1,900万円、樋井川5丁目で約2,110万円という並びです。
福岡市内で戸建てを考えるとき、候補に入れやすい区です。
この表は「評価額」です
上の坪単価は国の地価公示で、標準地の評価額です。
実際に売りに出ている土地はこれより高く、不動産ポータルの掲載では城南区の土地の平均が坪60.1万円(78件)。
売り出しの例では、東油山4丁目の120㎡(約36坪)が2,098万〜2,198万円(坪約58万円)、南片江2丁目が3,180万円、樋井川6丁目が3,980万円です。
評価額と売り出し価格を引き算しないでください。
建売の新築戸建てなら、片江2丁目で4,598万〜4,698万円、樋井川で3,390万〜4,598万円、東油山1丁目で4,350万円といった価格帯です(いずれも不動産ポータルの掲載・2026年8〜9月)。
中古戸建ての売り出しの中央値は4,190万円(土地158㎡・建物105㎡・築20年)。
掲載60件の内訳を見ると、3,000万〜4,000万円台が14件でいちばん多く、いっぽうで1億円を超えるものも8件あります。
通勤:七隈線が6駅。博多まで14〜22分
七隈線の福大前駅。城南区には七隈線の駅が6つあります(2017年7月撮影/そらみみ・CC BY-SA 4.0)
城南区には地下鉄七隈線の駅が6つあります。
梅林・福大前・七隈・金山・茶山・別府です(橋本は西区、野芥などは早良区、六本松から先は中央区)。
七隈線は2023年3月27日に天神南から博多まで延び、乗り換えなしで博多へ行けるようになりました。
当社が記事にした早良区の西新(博多まで13分)や南区の大橋(18分)と比べても、遜色のない時間です。
この延伸で、駅の使われ方が変わりました。
福岡市地下鉄の事業概要によると、1日の平均乗車人員は延伸前の2022年度から2024年度で、別府が5,214人から7,968人(+52.8%)。
茶山+33.1%、七隈+28.6%、金山+28.4%、福大前+21.1%、梅林+19.7%と、6駅すべてが2割から5割増えました。
七隈線ぜんたいでは69,904人から145,487人へ、2.08倍になっています。
運賃と通勤定期(1か月)は、別府が260円・10,220円、茶山から福大前までが300円・11,850円、梅林が340円・13,080円。
当社が16市区町村を並べた台帳で、鉄道の駅がある町のいちばん高い定期代は11,270円(筑紫野市・新宮町・宇美町)なので、それと同じくらいの水準です。
ただし、区にある鉄道は七隈線だけです。
空港線や西鉄のように別の路線へ振り替えられないので、止まったときは影響が出ます。
候補が決まったら、平日の朝に実際に乗ってみてください。
校区:とびぬけた校区が無い、という特徴
福岡市の校区別の登録人口(2026年6月末)で、城南区の校区を並べます。
14歳以下は10.6%から15.7%の間に、全部の校区が収まっています。
中央区(3.5%〜14.4%)や西区(1.7%〜22.2%)と比べると、区の中の差がとても小さい。
「校区で外れを引く」心配が少ない区、という言い方もできます。
学校の人数も同じで、いちばん大きい別府小学校で915人。
中央区の平尾小(1,120人)、西区の今宿小(1,032人)、博多区の那珂小(1,027人)のような、1,000人を超える小学校はありません。
いちばん小さいのは堤丘小の223人です。
ただし、別府小学校区を考えている方には、先に知っておいていただきたいことがあります。
福岡市の「子育て世帯市内引越し応援事業」は、学級数が多い状態が続いている校区への転居を助成の対象外にしていて、城南区では別府小の校区が指定されています(令和8・9年度)。
対象は田島2丁目の一部、茶山1丁目1〜5番、別府1〜7丁目(6丁目14〜26番を除く)、別府団地、城西団地です。
助成を使う予定があるなら、校区と住所を先に確かめてください。
いっぽう、65歳以上が3割を超える校区が4つあります。
堤丘36.0%、堤32.6%、金山32.1%、西長住31.5%。
いずれも区の南から西寄りの、丘の上に開かれた団地です。
同じ区でも、平地の別府・鳥飼(21.3%)とはかなり違います。
中古の戸建てが出やすいのはこちら側ですが、まわりの世代も一緒に見ておいてください。
借りる場合:2LDKで8.5万円
賃貸の掲載相場(不動産ポータルの参考値・2026年9月)では、城南区は2LDKが8.52万円、3LDKが10.13万円。
ワンルームは4.12万円、1Kは4.21万円です。
中央区(2LDK 15.21万円)の56%、早良区(11.21万円)の76%で、糟屋郡の粕屋町(8.54万円)とほぼ同じ水準です。
区内には福岡大学(学部19,637人・大学院646人)と中村学園大学(4,211人)があり、合わせて2万4千人が通っています。
全員が城南区に住んでいるわけではありませんが、単身向けの部屋が多い背景のひとつです。
地盤:警固断層の条例区域には入っていません
福岡市の揺れやすさマップ(城南区版)を見ると、区の大半が黄色で、これは震度6弱の想定です。
北東の別府・鳥飼のあたり(中央区・早良区寄り)に、震度6強の弱いほうにあたる薄いオレンジが帯で入っています。
中央区は北半分が濃いオレンジから赤(6強)だったので、城南区は全体に一段弱い想定です。
福岡市が警固断層のために設けている条例(高さ20メートルを超える建物に地震力の割増を求めるもの)の対象区域は、東区・博多区・中央区・南区の4区です。
城南区は入っていません。
2005年の福岡県西方沖地震のときも、市内で観測された震度は東区・中央区が6弱、早良区・西区が5強で、博多区・南区・城南区は5弱でした。
安全という意味ではありません
条例の区域に入っていないのは、断層からの距離と土地の使われ方で線が引かれた結果で、揺れないという意味ではありません。
マップの凡例では、区の大半にあたる震度6弱は「耐震性の低い木造住宅では、倒壊するものがある」と説明されています。
候補の住所ごとに原図で確かめてください。
私たちのほうでお調べします。
水と土砂は、別に見ておく必要があります。
洪水ハザードマップ(城南区版)の想定は、樋井川の流域で6時間に615ミリの雨。
鳥飼校区の案内資料には、校区の大半が1.0〜2.0メートル未満の浸水想定と書かれています。
福岡市の下水道が「過去に浸水した地区」として重点にしているのも、城南区では鳥飼・別府・田島・七隈の4地区です。
いっぽう油山の裾(東油山・片江・南片江・梅林など)には、県が指定した土砂災害警戒区域が城南区全体で73か所(うち特別警戒区域52か所)あります。
平地は水、山ぎわは土砂、という分かれ方です。
また、丘の団地は造成でつくられた土地です。
福岡市の大規模盛土造成地マップには、田島・茶山・七隈・長尾・樋井川・堤・東油山・南片江・西片江の一部が載っています。
載っているから危ない、という資料ではありませんが、候補の住所が入っているかは見ておいてください。
保育・学童・医療費は、福岡市の制度です
2025年4月1日の福岡市の待機児童は4人(申込41,830人)で、区ごとの入りやすさはこれだけでは分かりません。
福岡市は2023年4月から、第2子以降の0〜2歳児の保育料を、収入に関係なく無償にしています。
学童(放課後児童クラブ)は平日の放課後から17時までが基本で月3,000円、18時までなら+1,000円、19時までなら+2,000円です。
子どもの医療費は高校生世代まで助成があり、通院は1つの医療機関につき月500円まで、入院と薬局は0円です。
休日の急な病気には城南急患診療所(鳥飼5丁目2-25)があります。
ただし診療科は内科だけで、日曜・祝日の9時から16時30分まで。
中学生以下は原則として小児科を案内されます。
子どもの夜間・休日は、早良区百道浜の急患診療センター(小児科は平日19時30分から翌朝6時30分まで、日祝は9時から翌朝7時30分まで)まで行くことになります。
人口は、これから少しずつ増える見通しです
城南区の人口は135,618人(2026年5月1日)で、7区でいちばん少ない区です。
1年で793人(+0.6%)増えました。
福岡市の将来人口推計では、2020年の133千人から2034年に137千人と、14年で4千人ほどの緩やかな増加が見込まれています。
七隈線の沿線については、市が2022〜2026年度の整備計画で520.9ヘクタールを対象にしていて、六本松が「開発推進」、梅林が「開発促進」、福大前・七隈・金山・茶山・別府は「開発誘導」の位置づけです。
大きな再開発というより、個別の建て替えを誘導していく、という形です。
ごみは、夜に出します
福岡市のごみ出しは夜です。
燃えるごみは週2回、日没から夜12時までに出すと、夜のうちに回収されます。
燃えないごみと空きびん・ペットボトルは月1回。
指定袋は45リットルで45円です。
次の一歩
城南区を候補に入れるなら、この順で
まず、七隈線のどの駅を使うかを決める。
別府(博多まで14分)と梅林(22分)で8分ちがい、土地の値段は倍以上ちがいます。
次に、土地にいくらまで出せるかを決める。
片江・東油山・樋井川なら50坪で1,300万〜2,100万円台、七隈・荒江なら3,000万〜4,300万円台です。
そのうえで、校区の年齢構成を見る。
丘の団地(堤丘・堤・金山)は中古が出やすいぶん、65歳以上が3割を超えています。
最後に、樋井川の洪水のハザードマップを原図で確かめる。
ここまでは、私たちがお手伝いできます。
城南区は、目立つ数字が少ない区です。
ただ、福岡市内で戸建てを土地から買おうとすると、選択肢は絞られます。
その中で、七隈線で博多まで20分前後、建売の新築なら3,390万円から、という条件がそろう区のひとつです。
ご希望の条件をお聞かせいただければ、いまの城南区で何が選べるかをお出しします。
出典