そろそろ家を、と考え始めて、福岡のどのあたりがいいか調べている方へ。
篠栗町は、名前は聞いたことがあっても暮らしの中身までは知られていない町だと思います。
博多まで乗り換えなしで21分。
そのうえでこの町は、地震のときに動く可能性がある「盛土の場所」まで地図で公開しています。
ほかではあまり見ないことです。
良いところも、そうでないところも、順にお伝えします。
まず、通勤から
JR篠栗駅(2017年4月撮影/そらみみ・CC BY-SA 4.0)
JR福北ゆたか線の篠栗駅から博多駅まで、朝7時50分発で8時11分着。
21分、乗り換えなしです。
運賃は340円、通勤定期は1か月11,150円(6か月56,310円)。
天神へは博多で乗り換えて29分、550円。
なお西鉄バス31番なら乗り換えなしで天神三丁目まで58分という手もあります。
正直にお伝えします:本数
博多方面の本数は、6時台4本・7時台4本・8時台7本。
始発は5時28分、博多方面の最終は23時28分です。
当社で記事にしている筑紫野市は7時台が9本ですから、いちばん混む時間帯の本数では負けています。
1本乗り遅れると、次まで15分ほど空くことがあります。
同じ町でも、駅によって倍ちがいます
町内にはほかに城戸南蔵院前駅と筑前山手駅があり、隣の粕屋町に門松駅があります。
朝6時台から8時台の3時間で、博多方面の本数を並べるとこうなります。
篠栗駅の15本に対して、筑前山手駅は8本。
ほぼ半分です。
「篠栗町だから博多まで21分」ではなく、どの駅を使う場所なのかで、通勤の実感はまるで変わります。
土地の値段も、町の中で4.6倍ちがいます
国と県が出している地価を、町の中で見比べるとこうなります。
駅から歩ける中央4丁目と、山あいの金出で約4.6倍。
「篠栗町は安い」ではなく「篠栗町のどこか」で決まります。
2つの数字を混ぜないでください
上の表は国と県が出している地価(標準地の評価額)です。
当社のまとめ記事に載せている「篠栗町 坪27.1万円」はSUUMOに掲載中の売地の相場で、別の測り方の数字です。
測り方が違うので、この2つを並べて引き算しないでください。
建物込みの目安としては、篠栗駅まわりの新築戸建てで3,000万円台半ばあたりが中心です(不動産ポータルの掲載価格による参考値で、成約価格ではありません)。
賃貸は2LDKクラスで6万円台からです。
南蔵院の境内から望む南側の山(2015年4月撮影/そらみみ・CC BY-SA 4.0)
この町は、盛土の場所まで公開しています
ここが、篠栗町でいちばんお伝えしたいところです。
篠栗町は「大規模盛土造成地マップ」を公開しています。
大規模盛土造成地とは、谷や斜面を土で埋めて平らにした、広い造成地のこと。
地震のときに、盛った土が動く可能性が指摘されている場所です。
国の基準では、谷を埋めたものは盛土の面積3,000㎡以上、斜面に土を付けたものは元の傾きが20度以上で高さ5m以上のものが対象になります。
町の地図で色がついているのは、津波黒・和田・田中のあたり、高田・池の端・ベンタナヒルズのあたり、篠栗の市街地の東から南東にかけての山ぎわ、乙犬から若杉にかけての山ぎわです。
読み方に注意してください
まず、「色がついている=危ない」ではありません。
そういう成り立ちの土地です、という情報にすぎません。
次に、上に挙げた地名は地図を見て読み取ったおおよその範囲です。
町が出しているのは地図だけで、地点の一覧表は付いていません。
ですから「この団地が該当します」とは言い切れません。
境目もはっきりしないので、候補の土地が該当するかは、必ず原図で一件ずつ確かめてください。
私たちのほうでお調べします。
それでも、この地図があること自体に意味があります。
造成から何十年もたつと、そこが元は谷だったのかどうかは、歩いても見分けがつきません。
家探しでいちばん見落とされやすいもののひとつです。
知らずに買うか、知ったうえで選ぶか。その差は小さくありません。
土砂災害警戒区域は、これから増えます
福岡県は令和6年度から、精度の高い地形図を使って新しい指定に向けた現地調査を進めています。
篠栗町内では183箇所が調査の対象として公表されました。
つまりいまは区域に入っていない場所が、これから加わる可能性があります。
どの地区に多いかまでは公表されていません。
山あいの物件をご覧になるときは、町の防災マップと「ささぐりマップ」を必ず開いてください。
人口3万人。ゆるやかに減っています
総人口は31,147人、世帯数は14,455世帯(令和8年7月末)。
前の月と比べると16人の減少です。
国の研究所の推計では2030年に30,476人、2040年に29,257人。
急に減る町ではありませんが、増えている町でもありません。
当社で記事にしている筑紫野市は増えているので、そこは違いとしてお伝えしておきます。
学校は3校と分校1つ。規模の差が大きいです
小学校の児童数
篠栗町 第3期子ども・子育て支援事業計画(令和5年度実績)より
勢門小学校が734人、萩尾分校は8人。
中学校は篠栗中学校と篠栗北中学校の2校です。
通学区域は町が地図で公開していますが、境目は分かりにくいので、気になる物件が出てきたらお調べします。
保育:待機児童は0人。ただし中身を見てください
2025年4月1日時点で、篠栗町の待機児童は0人です。
須恵町・宇美町も0人なので、この3町では差がつきません。
「0人」の中身
町自身の監査資料に、認可保育園の入所率108%、認定保育園121%と書かれています。
つまり定員を超えて受け入れることで0人になっているということです。
「待機0人だから余裕がある」という意味ではありません。
共働きで保育園を前提にされるご家庭は、入園の見通しを、物件を決める前に町へ確認しておいてください。
学童保育(放課後児童クラブ)は町立3校区に1つずつ、ほかに認定こども園内の民間が2つあります。
待機は2024年度の54人から2025年度は12人へ減りました。
勢門校区は新しい施設で解消し、篠栗小のクラブも60人ぶん増やす工事が進んでいます。
改善は進んでいますが、ゼロにはなっていません。
子ども医療費は令和8年4月1日から高校生世代までに広がりました。
通院は1つの医療機関につき月500円まで、入院は無料。
所得制限はありません。
須恵町・宇美町も同じ内容で、筑紫野市は中学生までです。
買い物・病院・町内の足
買い物はマルキョウ篠栗店、マックスバリュ篠栗店、コスモス、新生堂、ホームプラザナフコが町内にあります。
大きな買い物はトリアス久山まで車で20分ほど。
篠栗駅前から久山町のコミュニティバス「イコバス」が100円で出ていて、トリアス久山まで25分です。
病院は、救急告示の篠栗病院、237床の北九州若杉病院が町内にあります。
小児科はやまのファミリークリニック、おおしまこどもクリニックなど。
日曜・祝日は久山町の粕屋中南部休日診療所(内科・小児科・歯科)が開いています。
町内の移動には、無料のコミュニティバス「オアシス篠栗巡回バス」があります。
朝9時台から夕方までの運行なので、通勤には使えません。
日中の買い物や通院のための足、とお考えください。
それと、この町には篠栗九大の森があります。
九州大学と町が共同で管理している約17ヘクタールの森で、池を一周する遊歩道が約2キロ。
休みの日に子どもと歩ける場所が町内にある、というのは家探しで見落としがちな点です。
ペット・自転車・釣り・水辺への立ち入りは禁止です。
ごみは地区で曜日が変わり、袋の色も分かれます
燃えるごみは地区別に週2回、燃えないごみは地区別に月2回。
燃えないごみは黄色の指定袋を使います。
引っ越し先の地区がどの曜日にあたるかは、鍵をお渡しするまでにお伝えします。
粗大ごみは、業者に頼む方法と、クリーンパークわかすぎへ自分で持ち込む方法があります。
持ち込みは10キログラムにつき100円。
引っ越しでまとめて処分するときは、持ち込みのほうが安く済むことが多いです。
これからの篠栗町
都市計画マスタープラン(2024年3月に見直し・目標年次2032年)では、篠栗駅の周辺を町の中心拠点とし、和田・津波黒・高田の国道201号沿いに工業・物流・沿道商業を誘導する方針が示されています。
地区計画は町内に6地区。
町内の下川原・天神免地区の土地区画整理は2024年10月に竣工済みです。
名前と時期まで決まった新しい大型商業施設の計画は見あたりません。
数年で街並みが大きく変わることを期待して買う町ではなく、いまの姿がおおむね続く前提で選ぶ町だとお考えいただくのが正確です。
次の一歩
篠栗町が気になったら
1. 候補の土地が大規模盛土造成地の範囲に入っていないか、原図で確認する
2. 土砂災害警戒区域と浸水想定区域を「ささぐりマップ」で重ねて見る
3. どの駅を使う場所かを確かめる(篠栗駅と筑前山手駅では本数が倍ちがいます)
4. 保育園を使うなら、入園の見通しを町に確認してから物件を決める
5. 平日の朝、実際に篠栗駅から博多まで乗ってみる
1・2・3は、私たちのほうでお調べできます。
4と5は、ご家族の暮らし方に当てはめて確かめていただくところです。
博多まで乗り換えなしで21分、というのは福岡の周辺では強い条件です。
そのうえでこの町は、足元の土がどうなっているかまで地図にして出しています。
本数の少なさも、保育園が定員を超えて受け入れていることも、調べれば分かるようになっている。
判断の材料が公開されている町です。
ご希望の条件をお聞かせいただければ、いまの篠栗町で何が選べるかをお出しします。
出典