そろそろ家を、と考え始めて、福岡のどのあたりがいいか調べている方へ。
筑紫野市は「土地が安い市」として名前が挙がることがあります。
ただ調べてみると、それは半分しか当たっていませんでした。
同じ市内で、土地の値段がおよそ5倍ひらいているのです。
「安い」の中身と、住むと何が効いてくるのかを、正直にお伝えします。
「筑紫野市は安い」の、中身
国が毎年出している地価公示で、筑紫野市の中を見比べるとこうなります(2026年1月1日時点)。
いちばん高い二日市北と、安い吉木で約4.9倍。
二日市駅のまわりは、けっして安い土地ではありません。
一方で、市街化調整区域や山側まで含めて平均を取ると、数字はぐっと下がります。
「筑紫野市は安い」という言い方は、この幅を平らにならしたものです。
2つの数字を混ぜないでください
上の表は国の地価公示(標準地の評価額)です。
当社のまとめ記事に載せている「筑紫野市 坪23.0万円」はSUUMOに掲載中の売地の相場で、別の測り方の数字です。
測り方が違うので、この2つを並べて引き算しないでください。
どちらで見ても言えるのは、市内の差が大きいということです。
ですので、筑紫野市を見るときは「市として安いかどうか」ではなく、「その物件がどのあたりか」で考えていただくのが正確です。
駅から歩ける場所を選べば、それなりの値段になります。
逆に、車を前提にできるなら、選べる幅がかなり広がります。
人口10万6千人。市としての厚みがあります
人口は106,526人、世帯数は49,706世帯です(2026年7月31日現在)。
10年間で人口は約4,000人(4.0%)増えました。
ただし直近は横ばいに近づいていて、2022年度末から2023年度末は22人の減少です。
市の推計では2030年に約108,400人まで増え、その後は減少に転じる見込みとされています。
市内でも、増えている地区と減っている地区が分かれます。
2018年から2022年で増えたのは二日市・二日市東・筑紫。
減ったのは山口・御笠・山家、そして原田を含む筑紫南です。
駅の近くに人が集まり、山側から人が減っているという形で、先ほどの地価の差と重なります。
通勤は、この市のいちばんの強みです
JR二日市駅の西口(2023年3月撮影/Muyo・CC BY-SA 4.0)
JR二日市駅から博多駅までは、朝7時49分発で8時12分着。
23分、乗り換えなしです。
運賃は340円、通勤定期は1か月11,270円(6か月57,030円)。
本数がしっかりあります
JR二日市駅の博多方面は、6時台に4本、7時台に9本、8時台に6本。
始発は5時18分、最終は23時57分です(普通・快速。
特急は含みません)。
当社で記事にしている須恵町は朝のいちばん多い時間でも1時間に3本ですから、7時台9本というのは、まったく別の使い勝手になります。
1本乗り遅れても、次がすぐ来る。
これは毎日のことになると、想像以上に効いてきます。
天神へ出るなら西鉄です。
西鉄二日市駅から西鉄福岡(天神)駅まで、特急で16分・420円。
通勤定期は1か月16,090円です。
朝6時台から8時台の3時間で、天神方面は47本走っています。
つまり博多にはJR、天神には西鉄と、行き先で使い分けられます。
この2つが両方そろっている市は、福岡の周辺では多くありません。
市内の移動は、少し弱いところがあります
コミュニティバス「つくし号」は、おとな150円・こども100円(小学生未満は保護者1人につき3人まで無料)。
PayPayでも払えます。
ただし市役所の停留所で見ると9時38分から18時38分まで、1日9便。
1時間に1本が基本で、12時台は走りません。
通勤・通学に使える時間帯ではないので、駅から離れた場所を選ぶなら、車が前提とお考えください。
市が補助して残している西鉄バスの路線も3つあり、裏を返せば補助しないと維持できない路線がある、ということでもあります。
校区は「行政区」で決まり、学校の規模はかなり違います
市の教育委員会は行政区をもとに通学する学校を決めています。
そして市も書いているとおり、行政区は住所の表示や番地とかならずしも一致しません。
同じ町名の中でも、丁目や番地で校区が分かれる場所があります。
もうひとつ、学校の大きさに幅があります(2026年5月1日時点の児童数)。
小学校11校の児童数
2026年5月1日時点。筑紫野市の各学校ページより
いちばん大きい二日市東小学校が1,100人、いちばん小さい山家小学校が144人。
約7.6倍の差です。
どちらが良いという話ではなく、お子さんに合うかどうかの話です。
大きい学校は行事も部活も選択肢が多く、小さい学校は先生の目が届きやすい。
気になる物件が出てきたら、行政区から校区を確認してお伝えします。
子育て:給食は中学校まで無償。ただし待機児童はゼロではありません
良いところから。
筑紫野市は2026年度、小学校に加えて中学校の給食も市独自に無償化しています。
子ども医療費は令和7年10月1日から中学生まで自己負担が原則なくなり、県の所得制限を超えた世帯にも市が助成します。
正直にお伝えします:保育所
2025年4月1日時点で、筑紫野市の待機児童は5人です。
同じ時点で大野城市は0人、太宰府市も0人ですから、近隣のなかでは筑紫野市だけ待機が残っています。
ただし前年の16人からは減っていて、方向としては改善しています。
学童保育は小学校11校それぞれにあり、市の計画では希望者を全員受け入れているとされています。
なお筑紫・筑紫東の学童は面積が国の基準に足りず、2026年度に拡張が予定されています。
共働きで保育園を前提にされるご家庭は、入園の見通しを、物件を決める前に市へ確認しておくことをおすすめします。
夜間・休日の医療は、かなり手厚いほうです
ここは、これまで当社で書いてきた町と比べて大きく違うところです。
市内に24時間の救急を受けている病院が2つあります。
福岡大学筑紫病院(310床・26診療科/産科と形成外科を除き24時間)と、済生会二日市病院(一般260床/24時間365日)です。
小さな町だと救急は隣の市に頼ることになりますが、筑紫野市は市内で完結します。
小児の救急も曜日で当番が決まっています。
月・水・金は福岡大学筑紫病院、火・木・土・日は福岡徳洲会病院で、いずれも17時から21時30分(休日は9時から)。
迷ったときは救急相談#7119、お子さんは#8000です。
天拝山(2024年8月撮影/Wakuwaku99・パブリックドメイン)
水害:過去に冠水した場所が、地図に載っています
筑紫野市のハザードマップは、県の浸水想定・土砂災害警戒区域に加えて、市が独自に調べた内水氾濫の想定区域と、過去に実際に冠水した箇所を地図に落としています。
冠水した箇所として示されているのは、本町・六反・次田・大坪・湯町・松ケ浦・紫・天神のあたりと、高尾川と鷺田川に沿った二日市の中心部です。
つまりいちばん便利で、いちばん地価の高いあたりと重なります。
内水氾濫は、見落とされやすいところです
川があふれるのが洪水(外水氾濫)、雨の量に排水が追いつかず、その場で水があふれるのが内水氾濫です。
川から離れていても起きます。
筑紫野市はそれを地図にして出しているので、必ず見てから決めてください。
ただし地図の点には番地や発生年月が書かれていないので、候補の物件が該当するかどうかは、一件ずつ調べる必要があります。
重要事項説明でもご説明しますが、気になるものは早い段階でお伝えします。
土砂災害警戒区域は、御笠(柚須原・大石・原・阿志岐・吉木)、山家、山口、塔原・天拝坂、筑紫神社の周辺など、山側と丘の縁に集まっています。
2014年3月の追加指定だけでも、土石流19区域・急傾斜地132区域・地滑り2区域が指定されました。
ごみは夕方から夜10時まで。1家庭5袋まで
福岡市から移ってこられる方が戸惑うところです。
筑紫野市の家庭ごみは収集日の夕方から午後10時までに出します。
袋は市の指定袋「つくしちゃん護美袋」。
そして1家庭あたり5袋までで、それ以上は事前に収集業者へ連絡が要ります。
引っ越し直後は荷ほどきのごみが一気に出ますから、入居のタイミングで、ここを知らないとつまずきます。
収集がお休みになるのは、毎週日曜日と、5月3日〜5日、8月13日〜15日、12月31日〜1月3日です。
買い物と、温泉
大きな買い物は市内で足ります。
イオンモール筑紫野は2008年開業で専門店約210店舗、駐車場約3,800台。
最寄りはJR天拝山駅と西鉄朝倉街道駅です。
ほかにゆめタウン筑紫野、マックスバリュ、サニー、トライアル、ナフコ、コスモスが市内に複数あります。
それと、この市には温泉があります。
二日市温泉の市営「御前湯」は大人250円・子ども130円で、9時から21時30分まで。
観光地の温泉ではなく、住んでいる人がふだん入りに行く銭湯として使われているものです。
近くに住むなら、これは効きます。
これからの筑紫野市
いちばん大きいのは筑紫駅西口の土地区画整理です。
32.5ha・事業費167億円で、計画戸数870戸・計画人口2,600人。
1997年度から始まり、2028年度までの予定です(換地処分は2024年5月に公告済み)。
筑紫地区の人口が増えているのは、これが効いています。
都市計画マスタープラン(2026年3月改定)では、JR・西鉄の二日市駅周辺の高度利用、朝倉街道・天拝山・筑紫・原田の各駅周辺の機能強化、筑紫野IC周辺への工場・流通施設の集積などが掲げられています。
ただし、名前と時期まで決まった新しい大型商業施設の計画は見あたりません。
数年で街並みが大きく変わることを期待して買う市ではなく、いまの姿がおおむね続く前提で選ぶ市だとお考えいただくのが正確です。
次の一歩
筑紫野市が気になったら
1. 駅から歩くのか、車を使うのかを先に決める。
ここで値段が大きく変わります
2. 候補の住所がどの行政区か調べる(学校がこれで決まります)
3. ハザードマップで、洪水・土砂災害に加えて内水氾濫と過去の冠水箇所を確認する
4. 保育園を使うなら、入園の見通しを市に確認してから物件を決める
5. 平日の朝、実際にJRか西鉄に乗って通勤先まで行ってみる
2と3は私たちのほうでお調べします。
1・4・5は、ご家族の暮らし方に当てはめて考えていただくところです。
「安いから何かあるのでは」と思われるかもしれません。
ただ実際は、市全体が安いのではなく、市内の差が大きいというのが正確です。
駅の近くはそれなりの値段で、離れると下がる。
そのうえで、朝7時台に9本という通勤のしやすさと、市内で完結する救急は、この市のはっきりした強みです。
ご希望の条件をお聞かせいただければ、いまの筑紫野市で何が選べるかをお出しします。
出典